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探訪

公園と調和する頴娃町のウインドファーム

既存の変電設備のままで2MW増設

2018/07/03 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ、
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 鹿児島県の南九州市は、薩摩半島南部に位置する「日本一の茶どころ」。全国の市町村のなかで、お茶の生産量・栽培面積ともトップだ。同市は、2007年12月に頴娃(えい)町、知覧町、川辺町が合併して誕生した。3町ともお茶の生産は盛んだが、お茶のブランドは最も知名度の高い「知覧茶」に統一している。

 頴娃町の丘陵にある「夢・風の里 アグリランドえい」は、キャンプ場や温泉、小動物園など、大人も子供も楽しめる公園として、市民の憩いの場になっている。風況がよいことから、2000年3月に旧頴娃町が約500kWの風力発電設備を建設し、公園のシンボルになっていた。だが、老朽化が進んだことから2014年に撤去した。

3社共同出資から「単独」に

 そして、現在、公園に冠する「夢・風の里」を具現化しているのが、総出力16MWの「頴娃風力発電所」だ。出力2MWの大型風車8基が、公園周辺の丘の上に点々と配置され、眼下のお茶畑を見下ろしながら悠然と回っている(図1)。

図1●頴娃風力発電所の全景
(出所:四電エンジニアリング)
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 「頴娃風力発電所」は、四電エンジニアリング(高松市)が2010年7月に建設し、O&M(運営・保守)も担っている。事業主体は子会社の頴娃風力発電(高松市)となる。新設時は2MW機・7基で総出力14MWだったが、2015年3月に2MW機を1基増設し、総出力16MWとなった。

 新設時は固定価格買取制度(FIT)の開始前だったため、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金制度を活用した上で、九州電力への売電単価は9.5円/kWhだった。FIT開始により既設風力設備もFITに移行した。ただ、売電単価は設置時の補助金を加味し、当時のFIT単価の22円/kWhから減額され、約20円/kWhとなった。

 四電エンジニアリングは、風力発電設備の設計・施工で実績が豊富だ。1999年に北海道苫前町で稼働した国内初のウインドファーム(20基・20MW)の設計・施工を手掛けるなど、日本の風力発電事業の系統連系技術を確立したパイオニア的な存在だ。

 同社は、ウインドファームやメガソーラー(大規模太陽光発電所)分野では、EPC(設計・調達・施工)サービスのほか、発電事業にも出資してきた。

 実は、「頴娃風力発電所」に関しては、計画当初、四電エンジニアリングを含めて3社による共同出資で計画されていた。しかし、ほかの2社が事業から手を引くことになり、四電エンジニアリングの単独出資による発電事業になった。

 新設時の総事業費は約46億円、同社の出資比率は当初、10%に過ぎなかったため、単独出資に切り替えた場合、資金負担と事業リスクが大幅に増すことになる。ただ、設置場所の風況は年間平均風速7m/sと事業性が良好なうえ、「自治体からの期待が大きく、地域からの反対もなかったことから、最終的にはトップ判断で、100%出資を決断した」と、頴娃風力発電の松木敦則・取締役は振り返る。

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