ブレード先端に「保護テープ」

 四電エンジニアリングは、現在ナセル内のトランスをタワー下部に移すことを検討しており、実際に3基では下に降ろした。その理由は、「ナセル内は振動や揺れが大きく、長期的にトランスの不具合で、ナセル内に絶縁油が漏れるリスクがある」からという。トランスを下に降ろすと、660Vのまま地上まで送電するため、タワー内の配線が太くなる課題があるものの、ナセル内に油が漏れるリスクを回避することを優先する方針だ。

 ナセル内に油が漏れ出た場合、落雷や何らかの原因で電気設備から発生したアーク(火花)から引火し、火災が発生する恐れがある。実際に2017年8月、佐賀県唐津市の約2MWの風車で、火災が発生する事故が起き、全国で報道された。この事故では、アークが発生してトランス付近で出火し、ナセル本体からブレードに延焼したとの報告があった。

 65mの高さにあるナセル内で火災が起きた場合、消火活動は難しく、鎮火するまで放置するしかない。仮に公園周辺に立地する「頴娃風力発電所」でこうした風車火災事故が発生した場合、その影響は計り知れない。

 また、ブレードの先端に保護テープを貼ることにしたのは、「エロージョン」と呼ばれる損傷を予防するためだ。長さ40mものブレードが回転すると、先端付近の速さは時速300kmにも達する。そこに雨や砂塵などが衝突を繰り返すと、表面が摩耗損傷してくる。これをエロージョンと呼び、損傷が進むと発電効率が低下するだけでなく、安全性にも関わってくる。

 そこで、補修や予防策が課題になっており、従来、コーキングやペイントを実施することが多かった。だが、塗装後、乾燥するまで稼働できないなど、手間と時間を要する課題があった。

 今回、四電エンジニアリングでは、日本製鋼所と連携し、初めて保護テープをブレードの先端5~6mに貼り付ける対策を採用した。3M製の耐紫外線性、耐候性に優れる粘着テープを採用した。今後、長期的耐用性を検証し、本格的に採用するか否か検討する(図9、図10)。

図9●ブレード先端への保護テープの貼り付け作業
(出所:日経BP)
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図10●3M製の耐紫外線性に優れたテープを採用した
(出所:日経BP)
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