「フレネルゾーン」で尾根沿いに設置できず

 現在、10MW以上の風力発電事業では環境影響評価(アセスメント)が義務化されている。だが、新設した当時は義務ではなかった。それでも、自主的に簡易的な環境アセスを実施した。ただ、2015年に増設した8基目の風車に関しては、アセス法見直しにより義務化されていたので、正式な形で環境アセスを行った。

 風車の設置場所周辺の多くは、すでに公園や牧草地として開発されていたこともあり、環境アセスの結果によって、立地場所などに変更はなかった(図3)。むしろ、風車の立地場所で大きな制約になったのが、無線通信に対する配慮だった。この地域はマイクロ波など無線通信で重要な空間である「フレネルゾーン」になっていたからだ。

図3●発電所の周辺は公園や牧草地が広がる。頴娃風力発電所の1、2、3号機
(出所:四電エンジニアリング)
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 無線通信では、送信施設の周辺に一定の空間を確保する必要があり、これを「フレネルゾーン」という。その空間に障害物があると、通信障害の原因になる。最高点が100mに達する2MWの風車も障害物となる可能性が高かった。そこで、無線通信施設を管理する機関と協議し、送信障害の起こらない設置場所を検討する過程で、丘陵の尾根沿いを避けることになった。

 山間のウインドファームでは、山の尾根沿いに風車を並べる配置が一般的だが、頴娃町の風車がそうしたパターンにならなかったのは、こうした背景があったという。

 ただ、南九州市では2017年5月に「再生可能エネルギー発電設備の設置に関するガイドライン」を制定し、その中で「良好な景観の保全」を掲げた。従って、今後同市内に風車を設置する場合、山の稜線を阻害するような配置は、景観保全上も難しくなったという。