大規模造成でコスト上昇

 こうした大規模な土木造成は、当初の見込みよりも、建設コストが膨らむことになった。「盛土を造成する間は地盤が不安定なので、多少でも雨が降ると工事できないといった想定も含め、工期は通常の高圧太陽光発電所の造成工事と比べて長く見積もり、約1年の計画で進めた」と、阿部部長は言う(図6)。

図6●低地のため雨水が溜まりやすい。PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した
(出所:日経BP)
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 「こうした造成コストの上昇に対応し、建設コスト全体の費用を当初予定の範囲に抑えるため、今回のプロジェクトでは、EPC(設計・調達・施工)サービス企業を置かず、自社での分離発注に踏み切った」(阿部部長)。

 通常、大規模な建設工事では、EPCサービス会社を置き、事業主の意向を確認しつつ、設計から資材調達、施工管理を委託する。この場合、電力会社との連系協議や地元対応などもEPCが主体となって行うことが多い。完成後は、一般的には1年間の瑕疵担保責任の期間中、その間に顕在化した不具合(瑕疵)などをすべて改修・解決した後、事業主に引き渡すという流れになる。

 発電事業主にとっては、EPC事業者を置くことで、施工管理の手間がなくなり、完成後の安定的な稼働までのリスクを回避できる。半面、設備や資材の調達原価が見えにくくなるとともに、EPC事業者に瑕疵担保責任を負わせる分だけ、EPC契約金額に「保証料」が加わり、建設コスト全体を押し上げる要因になる。