探訪

茅野と伊那の発電所に見る「セカンダリー太陽光」の買い方(page 4)

地域や地主との取り決めなど、書類に現れない点も

2019/04/23 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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どのように評価するのか

 茅野市と伊那市の発電所に関し、エンバイオHDはどのように評価して取得し、また、運営を適切に引き継いだのだろうか。

 まず、評価に関しては、自社単独で開発する場合と同じように、発電プロジェクトの内部収益率(IRR)が6%台以上とする基準を満たす必要があった。エンバイオHDが、両発電所を評価して算出した取得可能な額を提示し、最終的に折り合った。

 実際の評価にあたっては、ネクストエナジーが発電所の開発時にデューデリジェンス(投資対象の価値やリスクの調査)を綿密に実施しており、その資料も活用した(図5)。

図5●ネクストエナジーから提供された書類
(出所:日経BP)
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 具体的には、「土壌汚染リスク評価」、「発電設備の状況評価」、「発電電力量評価」、「地震リスク評価」、「インフラ投資資産の収益性、収益継続性に関する意見書」などである。

 エンバイオHDには、日常的に多くの企業や仲介人から、太陽光発電所の取得の打診があるが、こうした資料があまり揃っていないために、評価が難しいこともある。

 茅野市と伊那市の発電所の場合、EPC(設計・調達・施工)サービスとO&M(運営・保守)サービスも、ネクストエナジーが担っている。開発からEPC、O&Mまで一貫して取り組んでいる体制ならではの責任感が感じられ、安心できる点が多かったとしている。

 例えば、売電を開始後の月報なども、他のO&M企業で経験している内容と比べて、充実していたという。発電実績などのほか、何らかのトラブルで稼働が止まった際には、時刻ごとに担当者の行動まで記されている。

 国内のメガソーラーでは、このように稼働後の運用状況を記録している場合はあるものの、売却の交渉時にスムーズに一式揃えて迅速に提出できる企業は少ないという。

 こうした書類は、記録方法とともに適切に保管することが重要になる。売却することも想定して、あらかじめ管理を徹底しておかないと、必要な時にスムーズに提出することは難しいからである。

 また、経営破たんした企業が運営していた太陽光発電所の取得を打診されることもある。この場合、発電所の図面や発電量の実績くらいしか評価資料がないことが多く、その場合、検討の段階にも至らないという。

 今回の両発電所の場合、エンバイオHD側で、ネクストエナジーが用意した以上の内容の評価を独自に加え、検討することはなかったとしている。

 エンバイオHDによる評価の中では、これまで自社で開発していなかった中部地方に立地することも魅力だった。同社では、太陽光発電所の立地を分散させたいと考えていた。開発経験のない中部で、しかも、長野県は日射量に恵まれて太陽光発電に向く。

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