湖南市の発電所では、敷地内は浸水したものの、発電設備は浸水によって損壊することはなかった。この理由は、発電所の設計によるところが大きい。

 湖南市のメガソーラーで、地上から最も低い高さに設置されているのは、パワーコンディショナー(PCS)や昇圧変圧器(キュービクル)である。砕石の上に、高さ約30cmのコンクリート基礎を築き、その上に固定している(図3)。

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図3●浸水時のPCS付近の様子
下は通常時の様子。出力約1.81MWの「昭建石部ソーラー発電所」(出所:上は昭建、下は日経BP)
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 この場所でも、基礎はギリギリ近くまで浸水したものの、基礎の上まで水が達することはなく、PCSや昇圧変圧器は無事だった。

 太陽光パネルや接続箱は、アスファルト舗装した地面の上に、高さ50cmのコンクリート基礎を築き、その上に固定している(図4)。ここも基礎のかなりの高さまで浸水したものの、コンクリート基礎の上まで水が浸ることはなく、太陽光パネル、接続箱ともに浸水や水没を免れた。

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図4●浸水時のアレイの様子
右下は通常時の様子。出力約1.81MWの「昭建石部ソーラー発電所」(出所:昭建、右下は日経BP)

 湖南市のメガソーラーでは、太陽光パネルから接続箱、PCSをつなぐケーブルの敷設に際し、ラックを使い高い位置に固定していた。今回の水害では、この設計が功を奏した。

 国内の多くのメガソーラーでは、地中や地面にケーブルを敷設している。一方、昭建の湖南市の発電所では、ケーブルも高さ50cmのコンクリート基礎の上を通るように敷設している(図5)。

図5●浸水時のラックの様子
出力約1.81MWの「昭建石部ソーラー発電所」(出所:昭建)
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 接続箱までは太陽光パネルの裏面を通し、接続箱からPCSまでは、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)をまたぐ際、コンクリート基礎にケーブル収納用のラックを固定し、50cm以上の高さでケーブルを通している。

 この設計によって、ケーブルについても浸水を免れた。

 昭建によると、「周辺地域の浸水状況から考えると、発電設備が水没も浸水もせずに無事に済むとは考えられなかった」とし、まさに「設計に救われた」と振り返る。

 同社ではこのとき、万が一、発電設備が浸水・水没することによって電気的な事故に至ることを恐れ、関西電力からの要請はなかったものの、連系用の断路器を遮断し、送電を止めたという。

 半日ほど経って、湖南市のメガソーラーの敷地内からは水が引いていった。発電設備を点検すると異常はなく、どの設備も無事に稼働していた。絶縁抵抗などに異常がないことを改めて確認し、関電の高圧配電線への連系を再開した。