電子部品・材料分野に浸透する「再エネ100%」化

 工場内や隣接地に太陽光発電設備を設置する際には、施工の際に、工場の協力をどこまで得られるかも課題になる。

 一般的に、企業は、本業の運営業務に支障を及ぼすような工事は望まない。そこで、工場内への搬送や施工従事者の通行、施工作業の制約などが課されることになる。屋根上への太陽光発電設備の後付けなどでは、こうした調整に手間がかかる例も多い。

 ソルダーレジスト工場に隣接する大沼への設置工事では、逆に、とても協力的だったという(図6)。

図6●施工中の様子
全社的な協力を得て順調に進んだ(出所:太陽グリーンエナジー)

 その原因として、全社的な取り組みという位置付けのほか、電子部品・材料分野の経営環境の変化が大きいとしている。

 ソルダーレジストなどの顧客は、プリント基板メーカーなどである。その先の最終的な顧客は、電子機器メーカーとなり、プリント基板は電子機器に組み込まれる。

 電子機器メーカーなど、部品・材料メーカーの最終的な顧客となる企業では、自社の事業活動のあらゆる局面で化石燃料の利用を減らし、再生可能エネルギーの活用を増やそうとする動きが加速している。また、事業活動における「再エネ比率」を国際的なNPO(非営利組織)が評価・公表する動きも活発化している。

 よく知られているのは、米アップルの取り組みである。自社の事業活動だけでなく、サプライヤーの事業活動にも「再エネ100%」に近づけることを求めている(サプライヤーに再エネ100%化を求める関連記事日本への要望の関連記事)。

 こうした企業の場合、今後、納入製品やサービスの品質、信頼性、価格などが拮抗している場合には、サプライヤーの事業活動における「再エネ比率」が採否に影響する可能性も出てきた。

 電子部品・材料分野では、この動きが間近に感じられる状況にあるとしている。

 例えば、プリント基板の大手であるイビデンが、「アップル向けのプリント基板や半導体パッケージ製品の製造を100%再エネ発電電力で賄う」ことをアップルに公約している(アップルの発表の関連記事イビデンの関連コラム)。

 サプライチェーンにおける再エネ比率の向上を求めるアップルに対して、イビデンをはじめとする納入企業にとっては、再エネの導入に積極的な有力材料メーカーの存在は、アピール材料になるだろう。

 アップルだけでなく、世界的な大手企業全般に、こうした動きは広まりつつある(米国の大手企業の関連コラムリコーの関連記事積水ハウスの関連記事)。このような動きは、部品・材料メーカーにも広がってきている。

 こうした経営環境の変化もあって、太陽インキ製造の本社工場の駐車場のうち、大沼に近い側の一部を資材置き場や施工者用の駐車スペースとして活用するなど、施工に際して摩擦が起きるどころか、積極的に協力してもらえたという。

 自社グループで独自に取り組んできた再エネの導入に、本業の業界動向がうまく合ってきた状況にあるとしている。