クリーンルームが自家消費の負荷に

 次に開発したのが、大沼の「嵐山大沼水上太陽光発電所」(図4)だった。大沼も、第3調整池と同じように、嵐山町から借りて、発電設備を設置した。

図4●右上が太陽インキ製造の本社工場
FITを活用せず、自家消費する(出所:太陽グリーンエナジー)
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 こちらは、FITを活用せず、隣の太陽インキ製造の本社工場で自家消費している。発電設備の導入には、環境省系の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を活用した。「平成29年度 再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業」の対象に採択された。

 工場や事業所などの施設に大規模な太陽光発電設備を設置し、自家消費する場合、一般的に問題となるのが、休業日に電気が余ることである。

 土日や祝日などの休業日に、敷地内の多くの設備が止まるような施設の場合、日中の負荷が小さく、太陽光の発電電力をすべて使い切れないことになる。この問題を解消するために、土日祝日のみ、送電線を逆潮流させるといった対策が必要になる。

 太陽インキ製造の本社工場の場合、製造しているソルダーレジストなどは、24時間・365日でのクリーンルームの稼働と温度管理が必要なため、休業日における余剰電力の問題は発生しない。

 ソルダーレジストなどは、クラス10万のクリーンルーム内で製造・管理され、クリーンルーム内は常に23℃に保たれている。

 このため休業日にも空調負荷があり、太陽光発電出力の318kWを大きく超える。年間で見ても、大沼の太陽光発電電力として見込んでいる年約33万3000Whで賄えるのは、工場内の電力需要の約5%にとどまるという。

 EPCサービスは、最初の水上太陽光発電所と同様、三菱ケミカルエンジニアリングに委託した。PCSとフロートも、同じようにTMEIC製とシエル・テール製を採用した(図5)。

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図5●TMEIC製のPCS(上)、シエル・テール製のフロート(下)
1カ所目と同じメーカーを採用(出所:日経BP)
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 太陽光パネルのみ、前回と異なり、中国JAソーラー製を採用した。性能や耐久性、価格とのバランスなどが利点だったという。最初の案件を開発した後、水上向けのパネルを各社が相次いで製品化するなど、開発環境が整ってきたことが背景にある。