ウフル 八子 知礼氏
上級執行役員IoTイノベーションセンター所長
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 2016年はIoTビジネスの大きな躍動の1年となった。一気に様々な事例が創出・発表され、並行してアプリケーション、プラットフォーム、通信、デバイス、それぞれのソリューションで、現実的ですぐに採用可能なレベルのものが登場し始めた。本稿ではIoTに関する年初からのいくつかの重要なトレンドを振り返り、IoTビジネスの今後の方向性について筆者の見解を述べる。

1月のCESでの各社展示を皮切りに自動運転車が重要トレンドに

 2016年1月に米ラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)2016は自動運転車への各社の取り組みが大きな話題になった。

 かねてからこの技術に取り組んできた米Googleだけでなく、トヨタ、韓国Kia Motors 、米Ford Motorといった自動車大手がこぞって自動運転車関連技術を展示。「2020~2030年の完全自動運転を実現」といった目標に言及するなど開発競争の激化を感じさせた。その後も米Uber Technologiesや米Tesla Motors といった新興勢が続々と自動運転の機能をリリースするなど、先進性を見せつけたのは今年の大きな前進であった。

▼トヨタが展示した、ぶつかりながら賢くなる自動運転技術
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/121400021/010700034/

▼韓国Kia、2030年までに完全自動運転車を投入
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/121400021/010600014/

 12月に入り、Google親会社の米Alphabetは自動運転技術の事業会社Waymoを設立。自動車会社との提携で自動運転車を開発していく方針を明らかにした。その一方で、Uberがサンフランシスコで開始した自動運転サービスが、当局から許可を求められて登録をいったん解除されたりといった事象もあった。法制度も含めて、まだ実用化への全ての条件がそろっていない状況にある。

▼Uber、ピッツバーグで自動運転車のテスト走行を開始
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/052001444/

▼Google親会社、自動運転技術を商用化する子会社「Waymo」を設立
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/425482/121400217/

▼Google社の「Waymo」が自動運転開発に与えるインパクト
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/122200045/122400001/

[筆者の見解]

 産業機器、工場の設備や生産ライン、社会インフラなどの領域へのIoTの取り組みと共に、自動運転はIoTを手掛ける技術者が押さえておくべき領域だろう。特に2016年はこの分野で、技術の進化が実サービスへと結びついてきた、分かりやすい「当たり年」であった。

 その一方で、日本企業がこの分野のイニシアティブを握っているという印象は残念ながらまだない。実現に向けては、安全性の要求レベルが他産業の比ではないことや各国各州の法制度の許容状況が整備されていないなど大きな課題がある。技術の進展で可能になっても、受け入れる側の社会の準備がまだまだ整っていない。

 今後、エッジ側処理(後述)の考え方がさらにもっと加速すれば、その最たる応用先である車の中での情報処理が、重要なキーテクノロジーとしてクローズアップされるはずだが、現時点では多少時期尚早。ビジョンが見えている企業は、自動車メーカーではなく、IT企業やTier1サプライヤーかもしれない。2017年以降の展開に期待したい。

欧米IoT推進団体との標準化連携始まる

 2016年はIoT関連の標準化を推進する組織同士の連携の動きが目立った。2016年3月にはドイツの産学官が進める「Industrie4.0」と、米GEなどが設立した米IICが提携した。

▼スマート化を推進するインダストリー4.0とIICが連携強化
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/032201192/

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