東京工業大学元素戦略センターの細野秀雄センター長・教授の研究開発グループは、アンモニア(NH3)を低温・低圧で合成する触媒となる新たな物質を発見した。東工大フロンティア材料研究所の原亨和教授(写真)と元素戦略センターの北野政明准教授の研究グループが、新触媒として探求してきたエレクトライド(電子化物、電子そのものが陰イオンとして機能する化合物)Ru/Ca2Nがそれ。細野センター長の研究グループが従来利用してきたRu・12CaO・7Al2O3(略称はRu・C12A7、ルテニウム、カルシウム、アルミニウム、酸素)より反応温度が低く生成速度が速いとする。

東工大フロンティア材料研究所の原亨和教授
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 細野センター長の研究グループは、Ru・C12A7触媒を利用し、低温・低圧でNH3を合成する新プロセスなどの実証を続けてきた。この新手法は現在、工業的に広く使われるアンモニア合成法「ハーバー・ボッシュ法」を性能面で凌駕(りょうが)する。2017年4月27日には、東工大、科学技術振興機構(JST)、味の素などが共同でこの新手法の事業化を目的に、東工大発ベンチャー企業のつばめBHB(東京・中央、月丘 誠一社長)を設立している。

 これと並行して同研究グループは、Ru・C12A7触媒を超える性能の触媒となるエレクトライドの探求も進めてきた。Ru/Ca2N自体は、科学学術誌「Chemical Science」の電子版に2016年に発表済み(Chem. Sci., 2016,7, 4036-4043)。ノウハウなどの重要な部分は秘匿するオープン&クローズド戦略を採用している。

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