パナソニックは2017年11月29日、報道機関とアナリスト向けの技術説明会「パナソニック技術IR パナソニックのイノベーション戦略」を開催、この中で全社改革の中での生産技術部門の変革についても明らかにした。顧客にいち早く価値を届けることを最優先に、少量のプロトタイプの生産については品質の完全さに必ずしもこだわらず、価値の表現とスピードに重点を置く。「デザイナーからアイデアが次々と出るようになってきているので、その意思を顧客が手で触れるものとして早く届けられれば、ビジネスプロセスを変えていける」(生産技術本部長本部長の小川立夫氏)とした。

技術IRの登壇者。左から専務執行役員の宮部義幸氏、ビジネスイノベーション本部副本部長の馬場渉氏、生産技術本部本部長の小川立夫氏、先端研究本部本部長の相澤将徒氏。
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 プロトタイプを素早く出すラピット・プロトタイピングの技術について、小川氏は3D形状の測定、3Dプリンターによる造形、実製品と同等の体験ができる品質の加飾印刷技術を挙げた。ただし「1個だけ作るのではなく、100個とか1000個を造って顧客からフィードバックをもらうのがアジャイル型の開発のキモ」(同氏)であるため、金型をどう造るかが極めて重要と指摘。通常は月単位の期間がかかる金型製作にも金属3Dプリンターを応用し、「データがあれば即日、データを作るところからでも1週間」(同氏)で造れる体制にしたという。

 このプロトタイプ用の金型について、「3Dプリンターには、ありとあらゆる金型を代替できる材料の自由度はまだないため、従来でいう量産用の金型(量産型)と同等の信頼性はないが、100個や1000個のプロトタイプを世に出していくには十分」(同氏)とした。ここで「従来の品質基準をどこまで緩和するかという観点」(同氏)にも言及。「これまでの量産品のように、叩いても落としても壊れないというレベルと比べると、例えばもしかすると100個の中には使っている中で落としたら壊れてしまうものがあるかもしれないが、デザイナーが込めた思い、体験してほしかった顧客価値は余すところなく体験してもらえるようにする」(同氏)と優先順位を明確にした。

 一方で「(プロトタイピングが終わって、正式に製品化する際の)大量生産のところはわれわれが得意な領域」(同氏)。顧客からの注文内容と製造内容をコンピューターで計算・予測し、実製造ラインに指示を出すサイバー・フィジカルシステムの導入により、「全体プロセスを最適にコントロールして、量産品においてもリードタイムを短く提供する」(同氏)という。

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