シンガポールに本社を置くBroadcom社は、米Qualcomm社に買収提案した(ニュースリリース1)。買収総額は1300億米ドル(約14兆8000億円)に上る。実現すれば、半導体業界のM&Aとしては過去最大規模になる。

 買収は、Qualcomm社の発行済み株式を70米ドル/株で買い取ることで実施する。70米ドルのうち60米ドルは現金で支払われ、10米ドルはBroadcomの株式で提供される。買収総額の1300億米ドルには、250億米ドルの負債引き受け分が含まれる。Qualcommは、提案を受け取った旨、および株主にとって最高の結果になるように提案をこれから検討する旨を発表した(ニュースリリース2)。

 提案の買収が実現すると、半導体業界では過去最大規模のM&Aになる。これまでの最大額はシンガポールAvago Technologies社が旧・米Broadcom社を買収した際の370億米ドル(関連記事1)。この買収後にAvagoはBroadcomに改称している。その後、今回のM&Aで俎上に乗ったQualcommがオランダNXP Semiconductors社を470億米ドルで買収すると両社で合意し、発表ベースでは、これが最大額である(関連記事2)。

BroadcomのM&Aの軌跡。同社のスライド。
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NXP買収が難航し、追い込まれるQualcomm

 QualcommによるNXP買収は2016年10月に発表されたものの、EC(欧州委員会)による反トラスト法の審査が難航しているなどの事情で、1年経った現在も完了していない。携帯電話機やスマートフォン用のモデムICやプロセッサーICで、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったQualcommだが、ここのところ業績がパッとしない。例えば、2017会計年度(9月24日が期末日)の売上高は2230億米ドル(GAAPベース)と、前年度比で5%の減少である(ニュースリリース3:PDF)。半導体業界全体の2017年の売上高が前年比で20%程度の成長が見込まれている中で(関連記事3)、Qualcommの業績は大きく見劣りする。

 ただし、Qualcommの不調は今に始まったわけではなく、2016会計年度、2015会計年度も、前年比で売上高は7%減、5%減となっていた。この不振の打開を狙ったのがNXPの買収だが、上述したように難航中だ。買収提案を一蹴できない事情が、ここにある。

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