東芝の不正会計問題が発覚したのは、2015年春のことである。インフラ工事の一部にコストを過少に見積もる「不適切」な会計処理があったとして、2015年4月3日にまず特別調査委員会が発足した。特別調査委員会の委員長は、東芝取締役会長(当時)の室町正志氏である。

 インフラ工事の会計ルールである「工事会計基準」におけるコストの見積もりは、企業自身の主観に依存する。後から見て過少な計上だったとしても「その時点ではそう判断した」と主張されると、外部からは「利益操作」「粉飾」とはなかなか断言できない。このため、発覚当初はほとんどのメディアがこの問題を「不正」ではなく「不適切会計」と表現していた。

 正直に言えば、この時点では記者自身もそれほど大した問題とは考えていなかった。

2015年7月21日の会見で謝罪する東芝の経営幹部(当時)