2016年も工場や製品の事故が絶えなかった。年明け早々に発生して大きな影響を与えたのが、愛知製鋼の知多工場(愛知県東海市)での爆発事故だ。同工場内第2棒線圧延工場において、加熱炉の配管内を燃料である都市ガスに置換する作業の際に、加熱炉が爆発したというものだった。負傷者はいなかったが、この爆発事故の影響を受けて、トヨタ自動車は、2016年2月8~13日の間、国内における完成車組み立てラインの稼働を全て停止する事態に追い込まれた(関連記事123)。

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図1 トヨタ自動車の生産停止に関するリリース

 トヨタにとっては災難続きの年だったと言える。愛知製鋼の事故から半年も経たない同年5月30日には、アイシン精機の子会社で自動車用のブレーキ部品などを製造するアドヴィックスの刈谷工場で爆発事故が発生(関連記事)。一部の車両組み立て工場のラインを最大2日間止める事態となった。この他、4月に発生した熊本地震によってアイシン精機子会社の「アイシン九州」(本社熊本市)が被災し、トヨタも生産ラインを一時停止していた。

 事故によって納品先の生産ラインが止まるといった事態に対しては、ジャストインタイムの脆弱性に対するリスク管理の甘さを指摘する声もあるが、サプライチェーンマネジメントの専門家である未来調達研究所取締役の坂口孝則氏は、東日本大震災を教訓にトヨタが進めてきた取り組みに対し、上記の関連記事中で「決して無駄ではなく、むしろ被害を抑えることに貢献した」と評価している。日本では、工場の事故に限らず製品事故でも「ゼロリスク信仰」が強い。しかし、それでは経済活動が滞ってしまい現実的ではない。坂口氏が指摘するように、全リスクに対してではなく、優先順位を付けた上で対策を講じていくといった姿勢が求められる。