大型蓄電池単体での設置のプロジェクトであるカリフォルニア州アリソ(Aliso)渓谷のガス漏れ対策では、テスラとグリーンスミス、AESの3社がそれぞれ受注し、合計で70MW /280MWhの蓄電池が2016年末に設置された。最大規模と言いながら、まだこの程度の容量/エネルギーだ。3社の設置量をすべて合わせても、ピーク用のガスタービン1基(50M~ 100MW)程度である。

カリフォルニアの最大プロジェクトでも、まだまだ小規模
アリソ渓谷のガス漏れ対策で3社が設置した定置型蓄電池

 ピーク用のガスタービンの設置コストは、1ドル/Wと言われる。他方、大型蓄電池の設置コストは、だいたい1~1.5ドル/Wである(放電持続時間は4時間)。ピーク用のガスタービンとほぼ同額であり、燃料費が不要だと考えると、なかなか良いところに 来ている。

 需給の調整は、需要地に近いところで行うのが適している。その点、蓄電池は、(1)CO2や排出ガスを出さない、(2)設置面積が小さくて済む、(3)短期間で設置できる、(4)冷却水が不要といった優位性がある。将来を考えると、遠方の砂漠地帯に設置されるメガソーラーと需要地に近い場所に設置した大型蓄電池の組み合わせが理想だろう。

全米の大型蓄電池の8割がカリフォルニア州

 再エネ比率が増加する地域、特にカリフォルニア州では、この大型蓄電池が今後急速に増えるとみている。2018年〜2020年の断面で見ると、全米の大型蓄電池の80%はカリフォルニア州に設置されると言われている。電力会社からの低価格化の要求はますます厳しくなっているが、魅力的なマーケットである。

 カリフォルニア州は、「3大電力会社は、2020年までに合計で1325 MWのエネルギー貯蔵を調達し、2024年までにオンライン化しなければいけない」という州法(AB2315)を2013年に制定した。2018年と2020年調達分は熾烈な入札争いになるだろう。

 日本の蓄電池メーカーは、蓄電池単体のビジネス領域に参入しようとしているが、いずれもあまりうまくいっていない。米国のサービス事業者に蓄電池のハードウェアを売りたいのか、自らサービスを提供したいのか、その両方なのかによって事情は異なる。だが、いずれにしても中途半端なアプローチが目立つ。

 ハード商売の場合、開発・製造・安全規格などの習得に必要なコストに利益を乗せて、販売初期の時点における少ない販売量で割ると、どうしても価格が割高になってしまう。欧米メーカーは最初は我慢比べに徹するケースが多く、日本企業は入札で負けてしまう。それどころか、そもそもスタートラインに立てていない日本企業が大半だ。

 サービスビジネスに参入する場合、kWやkWhあたりの価格も重要ではあるが、前述した電力網への接続ノウハウや、アンシラリーサービスへの理解、米国の電力会社とのコネクションが非常に大事になる。これらを担う部隊がいて初めて、PPA契約が取れる。日本企業がサービスビジネスに参入するには、徹底した勉強とノウハウの蓄積と初期投資が欠かせない。

 カリフォルニア州のような大きな電力市場では、現時点では太陽光発電単体か蓄電池単体のビジネスが重要だ。今後、確実に規模が拡大していく領域だからこそ、今は将来に向けた初期投資と捉えるべきだ。

 大型化と価格競争が激しい単体ビジネスは、大手企業のみが生き残る世界だ。しかし、その大手にとっても我慢比べが続く。