では、ここで米国の蓄電池市場を俯瞰してみよう。下の表は、著者が米国市場の解析に使っているマトリックスだ。この表を用いて、蓄電池ビジネスの現在を把握し、今後何をすべきかを考察してみたい。

激しい価格競争が起きた電力会社向けビジネス
米国における2020年(3年後)の太陽光発電と蓄電池の関係予想

 この表は3年後の2020年を想定している。設置量(MW)の予想数値は各種の調査結果より当社が推測した。

 大前提を理解してもらうために、最初に「合計」を見てほしい。太陽光と蓄電池の年間設置量の比率が、2017年時点で4.4%であったものが、3年後の2020年には9.4%になっている。この比率はその後も上昇するであろう。

 太陽光と蓄電池のマーケットを分析するときは、電力会社向けと家庭向けと法人向けは分けて考える必要がある。規模やコスト、制度面での違いが大きすぎるためだ。家庭向けは次回以降に紹介することとし、今回は電力会社向けと法人向けについてみていく。

 大型の電力会社向けビジネスは、極めて価格競争の厳しいマーケットになっている。太陽光発電単体では、1kWh当たりのPPA価格は3セント近くまで落ちている(2020年稼働の案件の場合)。

 同様に、電力会社向けの大型蓄電池単体でのビジネスも、PPA価格は下落。系統運用者による容量支払いで何とか事業として成り立たせているレベルだ。かねて期待されてきたアンシラリーサービス収入も2017年時点では報酬単価が安すぎて利益が出ていない。

 大型蓄電池単体でのビジネスに参入した企業は、いずれも一定以上の規模の事業者ばかりだ。具体的には、米AES (独シーメンスと事業統合してFluence社となる予定)、NECエナジーソリューション(NECが米蓄電池メーカーのA123社のサービス部門を買収)、テスラ、米グリーンスミス(GreenSmith)などである。既に、資本力なくして参入できない市場になっている。加えて、電力網への接続ノウハウや、アンシラリーサービス向けのアルゴリズムなどを備えていなければ戦えない。