本記事は、情報処理学会発行の学会誌『情報処理』Vol.57, No.3に掲載されたものの抜粋です。全文を閲覧するには情報処理学会の会員登録が必要です。会員登録や全文の閲覧に関してはこちらから(情報処理学会のホームページへのリンク)

2015年9月に愛媛大学で行われたFIT2015において、EIP研究会では「シンギュラリティ問題が社会に与える影響」と題したパネルシンポジウムを行った。本稿ではその内容の一部をお伝えしたい。

 なお録音音声を編集するにあたり、できるだけ内容を保持したが、完全ではないことお断りしておく。

各パネラーによる講演

 ディスカッションに先立ち、3人のパネラーよりそれぞれの専門分野による見地から講演が行われた。以下にその内容を簡単に紹介する。

司会進行
原田 要之助情報セキュリティ大学院大学 教授
パネリスト
上杉 志朗松山短期大学 学長
松田 卓也NPO 法人あいんしゅたいん 副理事長 神戸大学 名誉教授
須川 賢洋新潟大学 助教

ビジネス倫理とシンギュラリティ

上杉志朗

 ビジネス・金融分野でシンギュラリティの背景になっているものとして、仮想通貨に代表される新しい技術がある。最近では「FinTech」と呼ばれる。たとえばビットコインは「お金の持つ"価値移転"、"転々流通"、"匿名性"という機能を代替するサービスとしてゼロから作ったもの」であるといえる。

 この分野でシンギュラリティが実現するとさまざまなことが何でもできる状態になる(図-1)。悪いことではテロ資金やマネーロンダリングなどに用いることも可能になる。

図-1 上杉:プレゼンシートより

 これらはただ規制をすればそれで済む話なのだろうか。やって良いこととやってはいけないことは必ずある。それを押しとどめるものは、やはり倫理観しかないのではなかろうか。

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