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「水上太陽光」の利点と課題、水中ロボットに期待も(page 3)

<第16回>世界の「水上」プロジェクトを日本が牽引

2019/04/24 05:00
大串卓矢=スマートエナジー社長
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管理コスト捻出の「救世主」

 経済的な利点だけでなく、「水」に対するメリットを指摘する管理者も多い。

 湖沼や調整池の管理者にとっては、日射が光に届かなくなることで、水が汚れるのではないか、という心配の声も聞こえる一方、逆に、水面を覆うことで、藻が発生しにくくなる効果があり、水質にとってはプラスの効果もあるという。

 実際、太陽光パネルによる水面のカバー率は30~60%になるが、これにより水質が悪化した例はほとんど聞かない。スマートエナジーが開発した「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」の例でも、水面のカバー率は約50%である。運転開始後、すでに2年以上たつが、水性昆虫や生息魚類の調査を実施し、生態へ悪影響があったとの結果は出ていない。

 プロジェクトによっては、発電した電気を用いて、エアレーション設備を動かし、水中酸素濃度を調整することで、水質改善にチャレンジするプロジェクトもあるほどだ。もちろん、水に対して有害物質をまったく排出しない太陽光発電の特性が前提としてある。

 経済的利点といえば、発電事業者へのメリットだけでなく、池や湖の管理者へのメリットも大きい。

 日本の事情で言えば、農業を廃業する農家が増えることで、ため池の維持管理コストの負担問題が発生していた。みんなで支えてきたため池であったが、支える農家数が減ることで、一農家あたりの負担が増している。そこで、売電収入や発電事業者からの地代をため池の維持管理コストに充当できる水上太陽光発電は、「救世主」として歓迎されるケースも多い(図3)。

図3●兵庫県加古川市の農業用ため池「広谷池」を活用した西日本最大(6.8MW)の水上太陽光
(出所:日経BP)
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