固定価格買取制度(FIT)制度が成熟期を迎え、太陽光発電による売電事業も新規開発を推し進めるだけでなく、既存設備のO&M(運営・メンテナンス)を見直す動きがみられる。発電設備のシステム効率を高めたり、ロスを減らしたりすることを目的に、既存設備を修繕するオーナーが増え始めていると感じる。

 今回は、過去の不具合事例を学び、長期間使用する太陽光発電設備のメンテナンスの勘どころについて解説する。

同じ不具合のパネルを多数発見

 「太陽光発電設備の不具合」と聞いて、まず思い浮かぶのが太陽光パネルの不良かもしれない。しかし、パネルの不具合は、設置枚数に比べれば意外に少ないともいえる。

 主な不具合としては、表面ガラスの割れ、ひび割れ、スネイルトレイルと呼ばれるセル(発電素子)のクラック(割れ)、バックシートのひび割れ、ジャンクションボックスの機能不全、油汚れなどがある(図1)(図2)。

図1●カラスの石落としなどによるカバーガラスの割れ
(出所:日経BP)
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図2●セルに生じたスネイルトレイルの例
(出所:日経BP)
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 スマートエナジーの過去5年の不具合事例を集計したデータを見ると、その設置枚数に対して発生件数は25件と少ない。ただ、特徴として、「一つ不具合が見つかると同じ症状のパネルが多数見つかる」という例が多いのが要注意である。

分散型パワコンは基板交換も

  パワーコンディショナー(PCS)の不具合は、売電停止につながるため、重要性と緊急性が高い。特に分散型パワコンのように設置台数が多いと、なかには基板の交換が必要と診断される例もある。原因としては、基板の絶縁不良によるエラーが多い。また、排熱トラブルも原因として多い傾向がある。

 夏場に日射が強いときに、MAX(最大出力)で運転されているような過酷な環境下では、エアコンのトラブルや、雑草により排熱不良や吸気不足が生じるような場合に、パワコンが停止する例もみられる。ファンを回すモーターも消耗品であるから、トラブルに備えておく必要がある(図3)。

図3●分散型PCSは、雑草による吸排気への障害が不具合につながる
(出所:日経BP)
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