「2020年には年間1億台の市場に成長」――。こんな予測もあるAI(人工知能)スピーカー(スマートスピーカー)だが、その製造やサプライチェーンに関する報道はまだ多くない。そこで、2回に分けてAIスピーカーの「製造・サプライチェーン」に焦点を当てる。(前編)では、この市場を切り開いた米Amazon.com社の設計・製造体制やSoC(System on Chip)の採用状況を見る。(後編)では雨後の筍のようにAIスピーカーが発売される背景の1つとなっている「公板(GongBan)」を説明する。

3000億円以上のハードウエア売上高

 Amazon.com社は、もはや電子機器のブランド企業と言ってもいい存在だ。機器の開発体制や従業員数、売上高を鑑みると、同社をオンライン小売業者やレンタルサーバー業者と見なすべきではないとも感じる。

 同社はAIスピーカー「Amazon Echo」シリーズを、全面的に自社で設計している。ハードウエア設計は、子会社の米Amazon Lab126社が全面的に担っている。Lab126社は米シリコンバレーや深センに拠点を持ち、スマートフォンやパソコンの開発経験を積んだ技術者を積極的に採用している。クラウドベースの音声対話AI「Alexa」は、Amazon.com社のシアトル本社やマサチューセッツ州ケンブリッジの拠点で開発している。Echoの開発に関係する従業員数は、既に5000人を超えている1)

日本で発売した「Amazon Echo」。音質などを強化した第2世代品である
(写真:Amazon.com社)
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 Amazon.com社のハードウエア事業の売上高は、2017年に28.85億米ドル(3174億円)以上と推測できる。2017年上半期における製造委託先の輸出額(下記の11.54億米ドル)を通年に換算するために2倍し、Amazon.com社の粗利を20%と仮定した。「以上」と記したのは、同社が一部製品のEMS/ODMを台湾Inventec(英業達)社などに任せたり、Amazon Basicブランドの周辺機材(例えば単3形Ni水素2次電池をFDKが供給)も販売するためだ。

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