映像からOCRでデータ取り込み

 そこでTCSは、タイミングデータを表示した映像を直接パソコンに取り込んで1秒ごとに静止画に変換、静止画にある数字とアルファベットをWindowsに標準のOCR(光学的文字認識)ソフトで読み込んでダッシュボードにリアルタイムに出力するシステムを開発した。

 ダッシュボードに表示するのは、コースのセクターごとのラップタイムや最高速度で、1画面に4台分を表示する。上2台はNAKAJIMA RACINGの車両で、下は基本的にトップ1~2位の車両データを表示する。下の表示は順位が入れ替わると自動で切り替わる。

タイミングデータのダッシュボード画面。上2台はNAKAJIMA RACINGの車両で、下は基本的にトップ1~2位の車両データを表示。データは第4戦の富士スピードウェイでの練習走行時のもの
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 さらに、車両のセッティングに影響を与える気象データ(温度、湿度、気圧、風向き、風速など)用のダッシュボードも開発した。気象データは2秒間隔で取得しており、リアルタイムの情報を見れる。

 NAKAJIMA RACINGではこうしたデータ、つまりタイミングデータや、レーシングカーがピットインの際に吸い上げる車両データ、気象データをチーム全員で共有できるよう、ツインリンクもてぎでの第5戦からエンジニアに1人1台、タブレット端末を配布した。

今シーズンからエンジニアに1人1台タブレット端末が配布された。これまでのようにピットに設置された大型モニターやパソコンの前に行かなくても、自分の持ち場でタブレット端末でデータをすぐに確認できるようになった
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エンジニアに配布されたタブレット端末。セイコーエプソン製。画面に表示されているのは、車載センサーデータの経時推移のグラフ
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 この結果、これまでのようにピットに設置された大型モニターやパソコンの前に行かなくても、自分の持ち場でタブレットでデータをすぐに確認でき、ドライバーともタブレットを手にして打ち合わせができるようになった。以前は1つのセッションが終わってからチームで議論をして、次のセッションに備えるのが通例だったが、「車両がピットインする度にレースの状況や車両のデータを分析して次の走りの改善へとつなげられるようになった。短い時間で効率的なコミュニケーションが取れて、次の作戦も立てやすくなった」(中嶋氏)という。