記事一覧

スポーツIT革命の衝撃

Bリーグ川崎、データ駆使でケガ「ゼロ」への挑戦

2018/05/25 05:00

内田 泰=日経 xTECH

練習参加率90~95%を目指す

 吉岡氏には、チーム全体のコンディション管理においてもう1つの指標がある。

 これまで同氏が川崎ブレイブサンダースに加入してから優勝にからんだことが4シーズンある。これらのシーズンを振り返ると、開幕から終了までのチーム練習の参加率が90~95%に近いほど優勝している。

 2013~2014年シーズンにBリーグの前身のNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)で優勝した際にはケガ人が出ず、練習参加率は95%だった。2015~2016年シーズンは90%。2016~2017年シーズンは、天皇杯、Bリーグともにファイナルに進出したが94%。2017~2018年シーズンは2018年4月中旬時点で92%だという。

 「練習をコントロールしないと95%は達成できない」と話す吉岡氏にとって、GPSデバイスの活用は、ターゲットの実現に向けて手放せないツールになっている。

 プロスポーツチームにとって、選手のケガは多大な損失につながる。ひとたび選手が離脱すれば、戦力ダウンとなるほか、投資が無駄になってしまうことさえある。2013年度の試算だが、ケガによるプロスポーツリーグの経済的損失は、米メジャーリーグMLBで約6億6500万ドル、米プロバスケットNBAで約3億5800万ドルに上るという。いずれも莫大な金額だ。

 S5の利用料は、価格だけを見ると決して安くはない。チーム全体では年間で数百万円レベルの出費になるという。それでも、ケガによる経済的損失の大きさを考慮すると、「データを駆使したコンディション管理」のコストは高くないと言えるだろう。