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スポーツIT革命の衝撃

リオ五輪「日本のメダル獲得38個」 スポーツデータ分析最前線

2016/04/20 00:00

高田 学也=日経コンピュータ

出典: ITpro、2016年 3月 31日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 8月に開催されるリオデジャネイロ五輪を前に、日本代表選手・チームの最終選考が各スポーツ競技で大詰めを迎えている。彼ら選手やチームの活動を支えるべく、データが生み出す価値に注目するスポーツ関係者が増えている。選手強化に役立てるほか、ファンが観戦する際の演出に生かそうという試みも始まる。

 スポーツに関するビッグデータ分析で世界的にみても先進的だとされるのが、音楽データ分析大手として知られる米グレースノートだ。昨年北米と欧州のスポーツデータ分析会社を相次ぎ買収。楽曲のムードやテンポを詳細に分析する技術を転用し、スポーツデータについても「広く」「深く」分析して新たな価値を生み出そうと考えている。

五輪のメダル獲得数予測システム、その驚きの精度

写真●オランダのインフォストラーダスポーツ出身で、現在米グレースノート国際スポーツ連盟/オリンピック・パラリンピック委員会担当マネージャーのワウター・スマック氏
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「リオ五輪で日本が獲得できるメダルの数は38個。当社が持つ世界中の試合データや選手データから読み解くと、3月時点でこう予測できる」

 グレースノートが新設したスポーツ事業部門で五輪担当マネージャーを務めるワウター・スマック氏はこう断言する。

写真●「バーチャル・メダル・テーブル」(以下、VMT)と呼ぶ五輪のメダル獲得数を予測する専用システムでリオ五輪の結果を予想した。3月時点で日本は38個を獲得する力があるという(提供:グレースノート日本法人)
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 スマック氏は2015年5月にグレースノートの傘下に入ったオランダのインフォストラーダスポーツ出身。セリエAやブンデスリーガなど世界各国のサッカーのほぼ全ての試合に関するデータをカバーするほか、夏期および冬期の五輪に関するデータも収集・分析してきた実績がある。マナースポーツも含めると250種類以上のリーグの動向を日々追いかける。

 先ほどの予測は、同社自慢の「バーチャル・メダル・テーブル」(以下、VMT)と呼ぶ五輪のメダル獲得数を予測する専用システムがはじき出したものだ。2010年から提供している。

「もし明日五輪が開催されたらどんな結果になるかを、長年世界中から集めたデータから導く。当社は、全競技について過去のデータをすべて持っているからこそ実現できるサービスだ」

 スマック氏はこう胸を張る。インフォストラーダスポーツの顧客リストには、国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)も名前を連ねている。

 VMTが絵に描いた餅でないことは、2012年のロンドン五輪、2014年のソチ五輪で証明されている。開催直前に公表した予測がかなり高い精度だったのだ。

 ロンドン五輪ではメダル獲得した上位20カ国のうち16カ国について、誤差は多くても4個。例えば日本は34個と予想した(実際は38個)。ソチ五輪では精度を上げたこともあり、日本の獲得メダル数の誤差は、わずか1個だった(予測は9個、実際は8個)。