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スポーツIT革命の衝撃

縮むゴルフ市場に新風、ライザップ×ソニーのデータレッスン

2018/03/30 05:00

内田 泰=日経 xTECH

 つまり、スイングの合間など余計な映像を見せることなく、生徒が見たいシーンをボタン操作なしで再生するわけだ。アドレス、トップ、インパクト時の映像にはタグ付けがされているので、生徒は一発でチェックしたい映像に飛べる。

RIZAP GOLF LESSON Systemのアプリ画面例。生徒の映像(左)とトレーナーの映像(右)を並べて比較できる。練習場でスイング映像を撮影してトレーナーに送り、アドバイスをもらったりすることもできる(図:RIZAP)
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 アプリには、コーチが映像上に線を引いてポイントを解説できる図形描画機能や、過去の自分のスイング映像やトレーナーの映像を、撮影した映像の横に並べて比較できる機能がある。また映像は生徒とトレーナー間で、クラウド経由で共有できる。生徒はレッスン時のアドバイスを自宅や練習場などで確認できるほか、トレーナーから課されたオンラインドリルの確認や提出、ラウンドのスコア管理などができるという。

“ボディーメークの法則”を転用

 昨今、センサーやクラウドの普及によってアマチュアレベルでもスポーツのパフォーマンスの可視化は珍しくなくなった。しかし、パフォーマンスを数値化しただけでは、上達の役には立たない。

 必要なのは、データを映像と重ねて表示するなど、使い手が分かりやすい形で示すことと、それを受けて“上達への道”を示すコーチングをすることだ。RIZAP GOLF LESSON Systemでは、ソニーは前者、ライザップは後者を担う。

 RIZAPグループ 代表取締役社長の瀬戸健氏は、「ボディーメークのサービスを通じて、我々にはどんなプロトレーナーが結果を出せるのか、出せないのか、法則が見えている。そのスキルをゴルフに転用する」と自信を見せる。

日本プロゴルフ協会が監修

ソニーでスマートゴルフレッスンの開発に携わった、SE事業室 チーフUXプロデューサーの大場昭氏
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 「国内のゴルフレッスン市場においてデファクトスタンダード(事実上の標準)を取りたい」。ソニーでスマートゴルフレッスンの開発に携わった、SE事業室 チーフUXプロデューサーの大場昭氏は意気込む。

 2014年5月に発売したスマートテニスセンサーの事業化にも携わっていた同氏は、その発売直後から「テニスセンサーをゴルフに応用できないか」と水面下で事業化に向けた検討を始めた。

 日本ではテニスよりもゴルフやジョギングの方が市場規模が大きい。大場氏はオーディオ商品企画の仕事で駐在していた米国時代に、ゴルフ向けセンサーを数多く目にしており、以前から「データを活用したレッスンを日本でも普及させたいという思いを持っていた」という。

 スマートゴルフレッスンの開発では、スマートテニスセンサーで得た教訓を生かした。一般にスポーツ向けセンサーの課題は「継続性」にある。「最初は面白いので2~3回は使ってもらえる。しかし、ユーザーはデータが示されたところでどう改善していいか分からないため、継続使用してくれない」(大場氏)。一般消費者向けに発売したスマートテニスセンサーも、当初はこの壁にぶち当たった。ビジネスの突破口が見えたのは、スポーツクラブを運営するルネサンスと提携し、2017年4月から、同社が全国39拠点で展開するテニススクールで順次導入が始まってからだ。

 センサーの購入者が本当に欲しいのは、「レッスンプロのアドバイス。これがマストアイテムで、それがあって初めてPDCA(plan-do-check-act cycle)が回ることを痛感した。そこで、ゴルフ事業の開拓では初めからレッスンで使ってもらうことを前提にした」(大場氏)。

 2016年春には日本プロゴルフ協会(PGA)の門を叩き、プロトタイプを紹介した。PGA会長の倉本昌弘氏は、人口減少や若者離れなどによる国内ゴルフ市場の急速な縮退について強い危機感を抱いており、データ活用に関心がある若者層などを取り込める可能性があるソニーの提案に賛同。A級ティーチングプロの資格を取るための講習会に、ソニーのソリューションを導入した。ソニーはここからフィードバッグを得るなどして、1年半ほど改良を重ねたという。

 事業化に際しては大手のゴルフスクールなどに話を持ちかけたが、RIZAPがデータを活用した科学的レッスンに力を入れており、「ソニーとベクトルが合って話がとんとん拍子に進んだ」(大場氏)という。

 ソニーが最終的に目指すのは、多くの一般ゴルファーがセンサーを店頭で購入して上達のために使ってもらうことだ。しかし、これまでの経験からそれが容易でないことは十分に認識している。そこで、RIZAPとの提携などを通じて「レッスンのサポートツール」「生徒とコーチのコミュニケーションツール」で業界標準の座をまずつかみ、その後で“本丸”を攻める青写真を描いている。