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スポーツIT革命の衝撃

データが教えた「勝負の3秒」 ラグビー、南ア倒した分析

エディージャパンのアナリストが語るW杯(下)

2016/03/11 00:00

内田泰=日経BP社デジタル編集センター

世紀の番狂わせ――。2015年9月19日、ラグビーW杯2015イングランド大会における日本代表の南アフリカ代表戦の勝利は世界をあっと驚かせた。日本代表が優勝候補を撃破した要因の一つは、まさしく「世界一のデータ分析」にあった。その“陰の立役者”とも言えるのが、エディージャパンのアナリストとして分析を担当した中島正太氏である。同氏が「スポーツアナリティクスジャパン2015」(主催:日本スポーツアナリスト協会、2015年12月19日開催)で明らかにした、データ分析の詳細の後編を談話形式でお伝えする。

 前回述べたように、南アフリカ代表はデータ分析の結果、「ラインアウト」を強みとすることが明確になった*1。実に全トライの50%以上が、ラインアウトが起点となっていた。

 南アフリカ代表には身長が2m以上の選手が多くいた。日本代表とは明らかに身長差があるので、ラインアウトで真っ向勝負するのではなく、「どうやって相手の強みを出させないか」という視点で戦術を構築する必要があった。

南アフリカ代表の分析で分かった、相手の強み、キープレーヤー、日本代表チームのカギ
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 これまで日本代表はパスとラン(走り)で世界と戦ってきた。しかし、南アフリカ代表戦ではキックをより多く用い、南アフリカがトライを取りやすい地域(例えば、自陣ゴール前)から、いかに早く脱出するかがカギとなった。こうすれば、南アフリカ代表のラインアウトの脅威を弱めることができる。それを実践するための戦術を、本番(2015年9月)までの6カ月をかけて選手に落とし込んでいった。

「3秒」に賭ける

 ポイントになったのが「タックル」だ。南アフリカの選手はフィジカルが強いので、日本の選手は数で勝負するしかなかった。相手がボールを持っているとき、1人ではなかなか倒せないので必ず2人で低くタックルして倒すことを前提にした。

 ただ、これを繰り返すと、ディフェンスの数が足りなくなる。そこで、タックルをしたらすぐに立ち上がってディフェンスラインに戻ることが生命線になった。我々はこのプレーを「リロード」と名付けた。

ディフェンスでは「3秒以内のリロード」が生命線になった
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