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スポーツIT革命の衝撃

「コンパクトな守備」、FIFA分析チームが明かしたW杯ロシア大会の戦術トレンド

2019/03/27 05:00

内田 泰=日経 xTECH

ペナルティエリア外からのシュートが激減

 守備時に陣形をコンパクトにした結果、何か起こったか。ペナルティーエリア外からのミドルシュートを打ちづらくなってきて、その数が減っていることが分かったという。

 実際、過去3大会のペナルティーエリア外からのシュート数を比較すると、2010年の南アフリカ大会は1000本だったのに対し、2014年のブラジル大会は788本、そしてロシア大会は684本と顕著に減っている。

サッカーW杯の過去3大会でのペナルティーエリア外からのシュート数比較
(図:FIFA)
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 その結果、ペナルティーエリア外から打ったシュートで実際にゴールに至った数も減っている。2010年大会の36本に対し、2014年大会は42本と増えたものの、2018年大会は29本となっている。ディフェンスをコンパクトにする戦術の効果が出ていると言える。

サッカーW杯の過去3大会でのペナルティーエリア外からのシュートで実際にゴールに至った本数比較
(図:FIFA)
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 こうした分析を通じて、さまざまなことが数字として見えてきているが、それでもまだ分からないことはたくさんあるという。「サッカーというゲームは、1本のパス、1本のシュートで力関係や試合のバランスが大きく崩れるスポーツです。私たちはまだまだ試合の全てを把握しているわけではありません。テクノロジーの進化は今後、我々の分析をもっと深いものにしてくれるでしょう」(Loxton氏)。

 「例えば単なるスペースだけでなく、キーパーがボールを出してからシュートのアテンプトで終わる一連のプレーを理解できるようにしないといけません。また、ディフェンスのプレッシング(相手に圧力をかける行為のこと)についても分析が必要です。単なるポゼッションだけではなく、試合の状況も分析できるようにしないといけません。パフォーマンスに対する疑問が増えれば増えるほど、我々の分析の質も向上していくことでしょう」(同)。