ネットで調べるが通院しない、そんな人にも使ってもらう

保険の一部適用を前提とした遠隔診療サービス「ポートメディカル」

2015/11/16 00:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

 日本初をうたう、保険の一部適用を前提とした遠隔診療サービスがいよいよ立ち上がる。メディア事業などを手掛けるポートが、お茶の水内科 院長の五十嵐健祐氏らと共同開発した「ポートメディカル」だ(関連記事1)。スマートフォンなどを介して遠隔で医師と患者をつなぎ、診断、処方、医薬品の配送までをワンストップで実現する。

 サービスの狙いや展開について、五十嵐氏にも同席してもらい、ポート 代表取締役CEOの春日博文氏に聞いた。五十嵐氏は2015年12月9日の『どうなる? 遠隔診療 ~厚労省の“解禁通達”で潮目が変わる~』(主催:日経デジタルヘルス)に登壇。「臨床医から見たニーズとアプリ開発の取り組み」と題して講演し、今回のサービスも紹介予定である(関連記事2)。

五十嵐氏(向かって左)と春日氏(同右)
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(聞き手は大下 淳一=日経デジタルヘルス)

――開発のきっかけを教えてください。

 遠隔診療に関する厚生労働省の通達が8月10日にありましたよね(関連記事3)。あれがきっかけで、遠隔診療に関するサービスを作れないかと関心を持ったんです。

 我々はメディア事業などを手掛けているのですが、医療の課題を解決するようなサービスをメディア事業として展開するのは難しい。そう考えて五十嵐先生にも協力をお願いし、まったく新しいサービスを開発することにしました。その結果できあがったのが、ポートメディカルです。

 このサービスは、医師と自宅などにいる患者をスマートフォンでつなぎ、診断から処方、医薬品の配送までを提供するプラットフォームです。保険適用を一部前提とした遠隔診療サービスとして業界初。医薬品の配送にまで対応する遠隔診療サービスもこれまで存在しませんでした。

 悩んでいる病気の症状について、インターネットで検索する人はすごく多い。それで結局、病院に行かないんですね。そういう人にも気軽に利用してもらうことで、予防医療の基盤を提供できればと思います。

――利用者はスマートフォンで診療を依頼し、提携先の医療機関の医師がそれに応える、という仕組みですね。

 サービスに協力してもらうのは、基本的に個人病院の医師です。対面診療の空き時間などに対応してもらうことを想定しています。当初は五十嵐先生、および東京都内の別のクリニックに協力してもらう予定です。提携先の医療機関を今後、30施設くらいに増やしたいと思っています。

 利用者の依頼があってから、短時間で医師が診療に応えられる体制にする考えです。診察する医師が誰になるかは、サービス利用者には分かりません。そのマッチングはこちら側で行うわけです。病院から見れば、いわば我々が“集客”をしていることになる。ですから病院側にもメリットのあるサービスだと思います。

 利用者と医師のやり取りは、基本的にテキストベースとする予定です。LINEやFacebookなど、ユーザーが利用しているツールで診察を受けられるようにします。サービス利用料は、診療内容にもよりますがサービス料など込みで3000円前後を想定しています。いずれは月額制にしたいですね。

――対象とする疾患について、制限を設けています。

 採血やレントゲン撮影、X線CT撮影などを必要とせず、診療のルーチンも定まっている。そのように、遠隔でもしっかりした診断ができるものを選びました。

 まずは肥満や乾燥肌、にきび、高血圧症など10種類ほどのカテゴリーを対象とします。このうち乾燥肌やにきび、肩こりなどの診療については、保険適用の対象になると考えています。

 今後、糖尿病やメンタルヘルスなどにも適用を広げたいですね。脱毛や性に関する悩みなど、対面ではなかなか相談しにくい内容も、格好の対象になるでしょう。

――サービス範囲を徐々に拡大していくのですね。

 ゆくゆくは、診療に使うデータも拡充したいと思います。血圧計で測ったデータや、スマートフォンアプリで測った睡眠時無呼吸症候群に関するデータなどですね。自己採血キットによる採血も組み込めるかもしれません。

 診断精度の向上に人工知能を使えないか。そんなことも考えているんです。我々の会社には、人工知能に関する知見のある人材がいますから。

 2016年3月までに利用者数10万人。まずはこの数字を目標にサービスを展開していきます。