本コラムは、数々のイノベーションで広く知られる3Mグループにおいて、大久保孝俊氏が体得したイノベーション創出のためのマネジメント手法を具体的に紹介します。大久保氏は、自身で幾つものイノベーションを実現しただけでなく、マネジャーとして多くの部下のイノベーションを成功に導きました。

 中国や台湾、東南アジア諸国といった新興国・地域のメーカーは技術力を高め、性能と品質に優れた低価格の製品を大量に供給できるようになってきた。韓国メーカーの薄型テレビや半導体、スマートフォンなどは既に世界のトップレベルだ。こうした厳しい競争の中、日本のメーカーに求められているのは、新しい価値を生み出すためのイノベーションである。しかし、これが難しい。

[画像のクリックで拡大表示]
図1 落ちない付せん紙「ポスト・イット ノート」
強力な接着剤を開発する中で、偶然生まれたのが簡単にはがせる接着剤だった。当初の目的を考えると失敗のようだが、開発者は何かに使えるという直感から、3M社の多くの技術者に用途を考えてもらった。付せん紙の用途を考え付いたのは全く別の技術者。接着剤を発見したのは1969年だが、発売にこぎ着けたのは1980年だった。右の写真は、日本で発売した当時のパッケージ。
[画像のクリックで拡大表示]

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!