本コラムは、数々のイノベーションで広く知られる3Mグループにおいて、大久保孝俊氏が体得したイノベーション創出のためのマネジメント手法を具体的に紹介します。大久保氏は、自身で幾つものイノベーションを実現しただけでなく、マネジャーとして多くの部下のイノベーションを成功に導きました。

前回:中途採用で見るべき4つの資質

真摯さはチームプレーにつながる

 1番目の資質である「誠実であるとともに強固な倫理原則を維持できる」は、Integrity(真摯さ)という言葉にまとめられると筆者は考えている。これはチームプレーを期待される部員、およびチームのマネジメントを任されたマネジャーに必須であり、人から信頼されるための最も基本的な資質である。Integrityを備えた部員で構成されたチームは、1+1を3にすることができる。

 一方で、Integrityが欠如しているマネジャーや部員は、「隠し事をする」「嘘をつく」「約束を守らない」などの負の行動を取りがちで、「いくら注意しても改善されない」傾向がある。このようなマネジャーや部員がチームに入ると、「1+1=3」どころか、「1+1=−3」という結果になりかねない。こうした人が「不燃性の人材」なのである。

「理屈に合わない」が肌感覚で分かる

 2番目の資質である「理屈に合わないことに対する不快感を持つ」は、論理的な思考に基づいて業務を進めるための基盤になる。その理由は、そうでない部員のマネジャーになった場合を考えてみると理解しやすい。

 例えば、「Aプロセス、Bプロセス、Cプロセスと順を追って進めることが理屈に合う」と部員に指示したとする。しかし、その部員はAプロセスを完了した後に、Bプロセスを飛ばしてCプロセスに進み、最後にBプロセスに取り掛かるかもしれない。この順序は理屈に合わない(合理的でない)のに、彼は不快感を持たないのだ。一方、上記の資質を持つ部員なら、Bプロセスが最後になることに不快感を持つため、こうした間違いを回避できる。

 ここで問題なのは、順番が間違っていること自体に加え、「合理的な手順が報告なしに変更されると、それにマネジャーが気づくのは全てのプロセスが完了してから」という点である。こうした事態を避けるには、部員が理屈に合わない行動を取らないよう、マネジャーが逐一確認する必要がある。すなわち、「理屈に合わない」に不快感を持たない部員に対しては、マネジャーがマイクロマネジメントを徹底するしかないのだ。

 これには多くの時間が必要となる。そんな無駄をなくし、マネジャーが常時監視しなくても部員が論理的に業務を遂行できれば、組織の生産性は大きく高まる。

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