● 自分をサポートしてくれる仲間に気づくことができる

 2本目の柱が、仲間のサポートに対する気づきである。入社して間もない社員にとって、仕事に役立つ情報が社内のイントラネットに公開されているだけでも大きなサポートになる。加えて、その情報に対する疑問などを情報の発信者に直接質問でき、発信者が素早く丁寧に答えてくれれば、自分をサポートしてくれる仲間の存在を強く感じるはずだ。社員同士の信頼関係も生まれてくる。このような信頼に基づいた関係を磨き込む必要がある。

● 強みとなる経営資源(形式知)に気づくことができる

 新しい技術の開発であっても、それに役立つ技術が社内の他の部署に眠っていることがかなりある。しかも、その技術は限られた担当者にしか分らない暗黙知になっているケースも多い。

 それを形式知化し、強みとなる経営資源として社内で共有することが重要となる。共有する形式知は記憶に残りやすくするため、理解しやすく面白いように工夫しなければならない。技術情報は、必要な人は誰でもアクセスできるようにすることも大事だ。

 このような3つの柱、つまり3つの「気づくことができる」を磨くことは、イノベーションに強い企業文化の構築に必ず役立つ。「Can Recognize」の3つの柱を具体的な方法に落とし込んだのが、図2に示した次の3つの仕掛けである。これについては次回、説明する。

大久保孝俊(おおくぼ・たかとし)
1983年3月住友スリーエム(現スリーエム ジャパン)に入社。1987年7月、米3M社メモリーテクノロジーグループ研究員。1999年10月、山形スリーエム(現スリーエムジャパンプロダクツ山形事業所) デコラティブ・グラフィックス技術部長。2003年9月、米3M社アジア・太平洋地域担当シックスシグマ・ダイレクター。2005年6月、米3M社コーポレートリサーチ研究所技術部長などを歴任。2016年8月から現職。
出典:2016年10月号 pp.81-87 日経ものづくり
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