自動車の安全性を評価する欧州の機関、EuroNCAPは、1997年に設立されてから今年で20周年を迎えた。これに合わせて、今後の自動車安全性向上計画の優先順位を設定した「ロードマップ2025」を発表した。ロードマップの中でEuroNCAPは、今後の「自動運転技術の進歩」に注目し、それによる安全性の向上を強く支援する姿勢を示している。

 EuroNCAPがこれまでに取り組んできた安全性評価は、前方衝突や側面衝突時の車室空間維持と人命保護が中心だった。これに、横すべり防止装置など事故を起こさないための機能の評価が加わる。これらがこれまでの主要な安全性評価項目だったが、これからはそれが大きく変わる。EuroNCAPは、次にあげる四つの項目がこれからの主要安全技術になると見ている。

【ドライバー監視】(2020年)

 交通事故の9割以上は人為的なミスによるものだ。一般的な違反は二つに分けられる。最も多いのは、飲酒運転や薬物の影響下での運転による速度超過である。もう一つは、ドライバーのよそ見や注意力散漫、居眠り、経験不足による運転ミスだ。最近では高齢化社会に伴い、突発性の病気による意識障害も事故の要因となっている。

 EuroNCAPではこうしたドライバーのミスを、事故が起こる前に検出し警告を出すなどのシステムに対し、評価上のインセンティブを与えることを想定している。すでに実用化して市場に参入したシステムから段階的に評価していく。評価は、ドライバーの状態がどれほど確実かつ正確に検出されているか、その情報に基づいて車両がどのような処置をとれるかが重要となる。

【緊急自動ステアリング】(2020年、2022年)

 緊急自動ステアリング(AES)は、緊急自動ブレーキ(AEB)より技術的な要求が厳しいが、対物事故や対人事故で死傷者を大幅に削減できる可能性がある。とくに歩行者や自転車の死傷者数は、交通事故による死傷者の36%を占めているので、これらの犠牲者の削減につながれば効果は大きい。

 自動でステアリングを動かす機能は、自動駐車システムや車線維持システムなどに使われており、必要なハードウエアはすでに搭載されている。しかし、AES機能を搭載しているモデルはほとんどない。これは国連の自動車協定規則79番(Regulation 79)で連続自動ハンドル操作が時速10km以下に規制されているからである。しかし2020年ごろには、緊急ステアリング用途については許可される予定で、これによりAESの開発と装備が容易になる。今後数年でAESが市場に投入される見込みだ。

 EuroNCAPでは、AESの導入を促進するとともに、様々な道路利用者との危険な状況下でAESの成果を検証していく。最初のステップとして、2020年にドライバー起因の車線維持ステアリング支援技術を総合評価に含める予定。その後、協定規則79番の許可時期にもよるが、2022年以降にAESの評価を実施していく。

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