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スタジアムとアリーナが拓く未来

田舎のスタジアムを地域経済の核に 鹿島アントラーズ、売上100億円への成長戦略

2018/12/05 05:00

内田 泰=日経 xTECH

 スタートから26年目のシーズンを終えようとしているサッカーJリーグ。この歴史の中で優勝回数が8回と、2位の3回を大きく引き離してリードしている名門クラブが鹿島アントラーズFCである。同クラブは今シーズンも、アジアのクラブNo.1を決める「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)」で初優勝。そして、スポーツビジネスの観点でもJリーグクラブの先端を走る数々の取り組みをしている。その根底にあるのが、人口わずか6万8000人の“田舎町”に立つスタジアムを拠点としている「悪条件」だ。いかにそれを乗り越え、世界で戦えるビッグクラブを作るのか。2018年9月7日~8日に鹿島アントラーズFCが主催した「Sports Digital Forum」に登壇した、鹿島アントラーズFC取締役事業部長の鈴木秀樹氏が戦略を語った。

カシマサッカースタジアムで行われた、J1リーグ第26節の鹿島アントラーズ対湘南ベルマーレの試合の様子
(写真©KASHIMA ANTLERS)
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原点は「50年後に消滅」という検証

 鹿島アントラーズの創設は1991年です。創設から20年を経た2011年、我々は創設から50年後の2041年にどうあるべきかを検証するために、過去を振り返って1000項目ぐらいを検証して「ビジョンKA41」を作りました。

 その検証結果は厳しいものでした。「鹿島地域のマーケットの小ささや、現状の経営では成長スピードについていけないため、アントラーズは50年後に消滅している」という答えが出たのです。

 そこで、次の30年を生き残っていくために何をすべきかを考え、5つのテーマを決めました。

  • (1)徹底した地域戦略により、地域に支持されるブランド
  • (2)地域を基盤とした育成型クラブ
  • (3)世界水準のスタジアムを拠点とするクラブ
  • (4)世界に挑む強いクラブであり続ける
  • (5)「アントラーズファミリー」と夢を共有し続ける

 これらのテーマの実現に向かって進めば、何とか生き伸びて成長できるのではないかと考えました。

鹿島アントラーズFC取締役事業部長の鈴木秀樹氏
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Jリーグの想定と「対極」の条件

 実はJリーグも、「共存」から「競争」へと戦略の舵を大きく切っています。世界で戦えるビッグクラブを作るのが目的です。

 Jリーグが想定しているビッグクラブの条件は3つあります。

  • (1)年間100億円の売り上げがある
  • (2)複合型のスタジアム・施設を持っている
  • (3)都市型のクラブで街中にスタジアムがある

 Jリーグは今では38都道府県に54クラブがありますが、鹿島アントラーズはこの想定の「対極」にあります。人口わずか6万8000人の茨城県鹿島市に、4万人収容のスタジアムがあるのです。

 では、対極にある条件では、ビッグクラブ構想は実現できないのか。そうではありません。我々は年間100億円を稼ぎ出し、世界と戦えるクラブを作るにはどうしたらいいか。先ほどの5つのテーマにおいて何をすべきかを議論し、それを実践しています。

営業売上高で100億円を目指す、鹿島アントラーズの将来ビジョン
(図:鹿島アントラーズ)
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