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スタジアムとアリーナが拓く未来

人気はみんなでつくる、ラグビーパーク ファンと一緒に進化

サンウルブズ、スポーツビジネスとしての可能性(後編)

2018/02/21 05:00

高橋 史忠=日経BP総研 未来研究所

ラグビーパークの進化も酒の肴にしてほしい

―― 確かに、秩父宮ラグビー場の周辺は、試合後に開いている飲み屋さんが少ないように感じます。

池田 ベイスターズも、以前はそうだったんですよ。試合が終わる午後9時半以降に開いている、スタジアム周辺の飲食店は少なかった。横浜スタジアムからすぐの場所にある横浜中華街の飲食店は、ほとんどが午後10時閉店でしたから。

 そこで、スタジアムの外にビアガーデンを開設したら、試合が終わった後にもそこでお酒を飲んで盛り上がる人が増えた。その様子を見て、近隣の人々も試合後の時間にお店を開けるようになっていきました。地域にスポーツが根付くことで、その地域が一緒に育っていく側面があると思います。だから、例えば、「5年後に秩父宮ラグビー場の周囲でパブ文化ができていて、地域が発展している」というようになれば、日本のスポーツ文化におけるラグビーの影響度が変わったと思ってもらえるようになるのではないでしょうか。

―― そうなっていくために、これからの5年間をどのように進めていくか、マイルストーンのようなものはあるのですか。

池田 どのスポーツもそうだと思うのですが、取り組みが始まって、シーズンがひと回りすると、いろいろなことが見えてくると思います。「いつからシーズンが始まるか」という定義は結構大切です。次のシーズンに向けた新しい取り組みを仕込んでいくスケジュールを考えなければなりませんから。

 プロ野球であれば春のキャンプが始まる前日からと、世の中では言われています。でも、ファンの視点ではそうかもしれませんが、スポーツビジネスでは、実は違います。シーズンが終わった翌日が、ビジネスとしてはひと回りの最初なんです。

 その意味では、ラグビーではどこがビジネスとしてのシーズンインなのか、僕もまだひと回りしていないので分かりません。今シーズンは今年の1月上旬にキックオフしたので、来年の同じ時期になると、ファン向けのひと回りと、ビジネスのひと回りの最初が分かるということですね。その間の経験で、次にやらなければならないことが見えてくるのだと思います。

JSRAが公開した「青山ラグビーパーク」構想のイメージCG(画像:©JSRA)
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―― その点では、「青山ラグビーパーク」化構想を今シーズンに始められて良かったですね。ラグビーパーク構想の取り組みがひと回りした来年は、ラグビーW杯イヤーのシーズンです。今シーズンの経験を生かしてもっと盛り上げられる。

池田 そう思います。今回の構想で公開したラグビーパークのCGイメージは、サンウルブズとして向かっていく理想図です。すぐにすべてが実現できるわけではありませんが、今シーズンが開幕して次第に理想に近づいていく様子をファンの皆さんに楽しんでほしいんです。良かったところはもちろんですが、秩父宮ラグビー場に足を運んで「つまらない」と思ったら、ファンにそう言ってもらいたいんですよ。

 ラグビーパークの出来・不出来を肴に酒を飲んでもらいたいじゃないですか。CGの中にある内容は、かなりの割合で徐々に実現されていきます。それを楽しんでもらえれば。「あのCGではこうなっていなのに、まだできていないじゃないか」「その背景には、こんなことがあるんじゃないか」とか、そういう議論もラグビーを見る楽しみにしてほしいと思っています。