背景には世界経済の拡大がある。国際通貨基金(IMF)は2017年10月、世界経済見通しを発表した。2017年、2018年の世界経済成長率の見通しをそれぞれ3.6%、3.7%とし、前回7月の見通しから0.1ポイントずつ引き上げた。

 これを受けて、石油需要も拡大を続けている。米国(2017年成長率2.2%、2018年成長率2.3%)、EU(同2.1%、1.9%)をはじめ先進国の強い内需や企業の景況感の改善、良好な金融環境などが成長を支えるとの見方だ。

 一方、リスク要因として、「予想困難」な米トランプ政権の規制、通商、財政政策や英国のEU離脱に伴う混乱、世界の中央銀行による早過ぎる利上げ――を挙げているが、需要増のトレンドは堅そうだ。

 中国の石油市場も拡大している。IMFは、中国についても成長率の見通しを2017年6.8%、2018年6.5%とし、7月予想からそれぞれ0.1ポイント上方修正した。これは、当局が2022年まで拡張的な政策を維持するとの見方に基づくものだ。

 2017年9月の中国の原油輸入量は日量900万バレルを超え、過去最高になった(1-9月平均では日量850万バレル)。OPECの10月月報によると、2018年の中国の石油需要は日量1255万バレルに達するのに対して、国内生産量は同381万バレルにとどまる。差し引き同874万バレルの輸入が必要となるなど、今後も石油輸入は底堅い。

伸びる中国の石油消費と原油輸入
中国の石油需給(2017・18年は予想)
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2018年は需給均衡化を達成、短期的な供給不足懸念も

 こうしてみると、2018年は需給両面から見て供給過剰問題が解消し、需給再均衡に向かうことになりそうだ。ここに、中東の地政学リスクが加わり、原油価格を押し上げる可能性も考えられる。

 中東地域では再び地政学リスクが高まっている。イスラム国(IS)掃討作戦で力を発揮したクルド自治政府の治安部隊とイラク中央政府軍が対立。イラク軍が北部の油田都市キルクークに部隊の増派を続けている。

 サウジに関しては、ムハンマド皇太子の強権かつ攻撃的な対外政策を危ぶむ声も多い。サウジとイランとの覇権争いがイエメン、レバノンでの代理戦争に発展している。

 市場では、こうしたサウジ内外における一連の動きを、「皇太子の陰謀」と捉える見方があり、中東における大きな不安定要因となりつつある。こうした中、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めると正式に発表した。中東情勢はますます混迷が深まっている。

 中東地政学リスクの高まりは、原油の供給不安を醸成し、価格押し上げ要因となる。2018年の原油価格は1バレル60ドル台を回復する動きを強めそうだ。