とはいえ市場関係者の間では、原油が50ドル台を回復するとの見方には疑問が残った。

 1つは実効性の問題だ。減産合意はあくまでも口約束であり実現される保証はない。また、減産の基準が、生産量が記録的高水準にあった2016年10月の日量3383万バレルに対するものであり、2016年8月の非公式会合で合意した生産量(日量3324万バレル)からは60万バレルの減産に過ぎない。世界的な供給過剰を解消するには不十分で、仮に原油価格が上昇すれば米シェールオイルの生産も活発化する可能性があるためである。

 実際、2017年の原油価格は協調減産がスタートした年初こそ50ドル台を回復したものの、3月には再び50ドルを割り込み、3カ月半ぶりの安値をつけた。背景には需給再均衡に対する懐疑があった。そもそも、サウジには減産を続けたくない理由がある。イランやリビアが増産を続ける中、スウィングプロデューサー(需給調整役)を続けた場合、市場シェアを失いかねない。

協調減産の再延長、再々延長へ

 原油価格に下振れリスクが残る中、OPECは2017年5月25日の定例総会で、6月末に期限を迎える減産を2018年3月まで、9カ月間延長することとし、非OPECとの閣僚会合でも協調減産の継続を正式決定した。ただ、市場では、減産が順守されれば需給が均衡に向かい原油市場は安定するとの見方がある一方、米シェールオイルの増産を促すとの見方も浮上した。

 OPECは、石油市場を安定化させるため11月30日の総会では、非OPECとの協調減産を2018年12月末まで再延長することで合意。これまで減産を免除されていたリビア、ナイジェリアについても生産量の上限(両国で日量280万バレル)が設定された。これにより、足元の原油価格は50ドル台後半での底固い推移となっている。

 OPECが協調減産を続ける背景には、長引く原油価格低迷による財政悪化がある。特に、盟主サウジアラビアの2017年1~3月期、4~6月期のGDP成長率は、それぞれ前期比-0.3%、-1.0%と2四半期連続のマイナスとなり、リセッションに陥った。

油価低迷と減産で下降するサウジ経済
サウジアラビアの経済成長率と原油価格

 2011~13年に年間3000億ドルを超えていた石油輸出収入は、2016年は1344億ドルに縮小。サウジの2014~16年の財政赤字額は計2372億ドルに拡大し、2014年に7300億ドルあった外貨準備は、2017年8月には5000億ドルを割り込んだ。

激減するサウジの収入
OPECの石油収入