今世紀に入って金属市場で3つの劇的な変化が起きた。

 1つは、あらゆる金属の生産および消費量に指数関数的な変化が見られるようになったこと。

 第2は金属の需要が従来の鉄・銅・アルミニウムからレアメタルにまで顕著に拡大したこと。

 そして、第3は採掘できる鉱石の品位(金属の含有率)が低下し、枯渇問題が顕在化し始めたことである。

 今回は石油と並んで20世紀の成長を支えた金属資源の危機を取り上げたい。

 経済的、技術的に採掘可能な資源の量が減少し、採掘コストが上昇し、遅かれ早かれ生産量が減少に転じるという意味では、石油におけるピークオイルと同様に“ピークメタル”を迎えつつあるといえるだろう。

 石油だけでも大きな問題だが、“脱オイル後の世界”を展望するためにも、金属資源の危機についてもしっかり押さえておく必要がある。

激変は中国の台頭から始まった

 世界で最も多く生産・消費されている金属は鉄である。

 世界鉄鋼協会(WSA)によれば、2017年の世界粗鋼生産量は16億9100万tで過去最高を記録した。生産の拡大基調は止まらず、18年9月の世界粗鋼生産量は、前年同月比+4.4%の1億7959万tで29カ月連続の増加だった。1-9月累計(13億4699万t)を年換算すると17億9598万tとなり、今年も記録を更新する勢いだ。

 世界の粗鋼生産は1970~90年代は20年以上に渡って7億t台(うち日本、米国、欧州、旧ソ連が約1億tずつ)で推移していた。

 しかし、2000年代に入ると粗鋼生産は8億tを突破し、04年に10億t、11年に15億tと急拡大した。18年は史上初めて18億tが視野に入ってきた。2000年以降はまさに指数関数的な拡大である。

今や中国が世界の半分を占める
世界および中国の粗鋼生産(出所:WSAのデータを基に著者作成)

 現在、世界粗鋼生産の半分は中国が占めている。2000年代以降の中国鉄鋼業は「鉄が鉄を呼ぶ」と言われた。国内消費も伸び、鉄鋼多消費型の高度成長ステージに入り、生産は毎年5000万~1億tを上回るペースで拡大した。それでも当初は、13年以降に国内生産が8億tを超えたところで落ち着くだろうと見られていた。

 しかし、中国国家統計局によれば、中国の2018年10月の粗鋼生産は前年同月比+9.1%の8255万tで、32カ月連続で前年水準を上回り過去最高を更新している。1-10月累計で7億8246万tとなり、年換算では9億3895万tと9億tの大台に乗せることになる。中国の粗鋼生産はどこまで拡大を続けるのだろうか。

 1国の産業構造は経済の発展に応じて農業から工業、サービス産業へと転換すると、それに応じて鉄などの資源の需要構造も変化する。

 一般に1人当たり年間鋼材消費量は、他の国のこれまでの経路曲線を見てみると600~800kgをピークに、経済がサービス化、成熟化してくるに連れ、消費量は低下していく傾向がある(グラフは山型を描く)。

 ちなみに、米国のピークは1977年の672kg、日本は1990~91年の800kg強がピークで、足元は300~600kg程度になっている。

 中国は1人当りGDP(国内総生産)が2000年の1772ドルから17年には8643ドルと5倍弱に増えた(ちなみに、中国政府は国内の目標である「小康(まずまずの)」状態にはまだ達していないとしている)。

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