この1年でシェールオイルに関する様々な情報が表面化し、シェールの今後がより鮮明に見えてきた。我々のこれまでの見立ては基本的に変わらないが、予想以上にり「シェール革命」が短命に終わる可能性がある。

 これまで「脱オイルの世紀」では、「この数年、原油生産量が増加しているのは、米国のシェールオイルとカナダのオイルサンドの非在来型原油の増産に起因している」ことを報告した。また、オイルサンドは「コストが高く2025年には生産がピークに達する」と予測した(「期待の新星、オイルサンドの失速が始まった」参照)。

 シェールオイルは「市場油価が70ドル以上になれば新規開発が増える可能性はある一方で、埋蔵量がサウジ最大のガワール油田の20分の1程度であるため、『シェール革命』は短命に終わる」と予測した。当時は将来の油価の動向が不透明であったため、含みのある予測結果となった(「シェール革命は短命に終わる」参照)。

 米国の原油生産量は、2017年に1000万バレルを超えた。2018年はロシアやサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になったとみられる。

 2008年の石油危機により世界経済が低迷したが、2010年頃からの米国のシェールオイルの増産はこの石油危機からの脱出を助けてきた。

 しかし、このシェール効果はほぼ10年間で終わる可能性が高いと我々は見ている。

 そして「シェール革命が米国を石油大国にする」という期待も夢に終わる。それどころか、シェールの失速は米国経済を揺るがし、世界経済の悪化を加速するおそれすらある。

 ここでは、最新の情報に基づき、主に経済的観点からシェールオイル、特に注目されているパーミアン油田の将来について、3つの点に着目して展望する。

 下のグラフはシェール油井の生産量だ。米国の各所で開発が進められているシェール油井だが、現在の米国の原油生産を支えているのは、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地ただ1つと言っていい。

米国の原油生産はパーミアンが支える
シェールオイル生産拠点の生産量(出所:米エネルギー情報局統計より著者作成)

シェールオイルの三重苦

 最近になってそのパーミアンの原油生産に次のような懸念事項が表面化してきた。

(1)世界の経済は今後数年のうちに不況に突入する可能性があるとの予測がある。もしそうなれば、将来の油価は継続的に低下することになり、在来型原油より生産コストが高いシェールオイルの生産は減少することになる。

(2)シェールオイル事業全体は、当初から赤字続きの経営であった。2018年後半になって、初めて黒字経営になったと報告されている。しかし、これまで積みあがった巨額の負債をどう処理するかが今後の大きな課題になるだろう。シェールオイル事業者の経営体質は脆弱であり、世界が不況に陥ったあとにシェール事業を継続できる可能性は低い。

(3)優良油井がまだ残っているパーミアン地域に原油開発が集中し、掘削の密度が上がったため、生産量は増えているものの生産効率が低下している。これはパーミアンのシェール資源量の限界の問題といえる。このほか、生産や輸送に関わる制約も増大している。利益を上げられるのはあと数年との見方もある。

 上記の3つの点について、根拠となる関連情報をもとに深掘りしていく。

 既に様々な報道が世界経済の停滞を伝えている。その詳細は本シリーズ別稿で改めて分析していく。ここでは代表的な関連情報を紹介する。

 最近のコモディティの価格低下は、まもなく不況に突入する前触れである可能性がある。

この先は日経エネルギーNextの会員登録が必要です。日経 xTECH登録会員もログインしてお読みいただけます。

日経エネルギーNext会員(無料)または日経 xTECH登録会員(無料)は、日経エネルギーNextの記事をお読みいただけます。日経エネルギーNextに関するFAQはこちら