異業種領域の技術基盤獲得がカギ

 これらの治療手段は、製薬企業にとって、新規分子種という意味とは異なる、革新的な新規モダリティとなりうるものである。しかし、問題はこれまでとは全く異なる技術基盤やアライアンスが必要となることだ。

 例えば先ほど述べたDARPAでは、下記のようなチャレンジを乗り越えることをプロジェクトに要請している。

・疾病と生理学的状態をin vivoで継続的にモニタリングできるようなニューロモジュレーションシステムのデザイン
・革新的なセンシング技術や神経インターフェイス技術を内包する、低侵襲/非侵襲のコンポーネンツの利用

 こうした技術基盤は、従来型の製薬企業が保有しない工学的知見、センシング技術、システムやUIの構築能力を前提とするものだ。メーカーには、既存のバイオロジクスの知見とそれらを融合させることが求められる。そのために、これまでに目配せをしてきた領域とは異なるアカデミア、スタートアップ、パートナー企業の選定とそれらステークホルダーとの協業が必要となる。

 一方、相対のステークホルダー側も製薬企業が保有するアセットを求めている。とある医療機器スタートアップ企業のCTOは以下のように語る。

「国内大手医療機器企業はそもそも外部スタートアップ企業とのパートナリングに消極的。一方、製薬企業は自社の持つ有形無形の資産に気が付いていない。我々の技術と組み合わせれば面白い世界を切り拓くことが出来ると思うのに…」

 新規事業を開拓するうえで、一社単独で技術創出や事業開発のバリューチェーン全体をカバーすることが難しい時代に変移している。今後は、競争(きょうそう)ではなく協創(キョウソウ)が求められているのかもしれない。