あのGoogleも乗り込む…

 同様の動きは民間でも既に垣間見えている。これまでも電気刺激を用いた治療法は、パーキンソン病、難治性疼痛、痙縮の改善などに用いられてきたが、近年その外延や適応の拡がりが見込まれており、製薬企業(クスリ屋)が医療機器企業(キカイ屋)的なアプローチを用いた治療法の研究開発に着手する際の絶好の領域となっている(図表3 )。

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 GSK社は、次世代型のニューロモジュレーションやエレクトロシューティカルに注力している企業の一つだ。

 2016年、Googleの持株会社であるAlphabet社が保有するVerily Life Sciences社と合弁で、「bioelectronic medicines」の開発を企図するGalvani Bioelectronics社を設立した。7年間における共同出資額は最大で5億4000万ポンド(約760億円)となり、メガファーマとしても相応の出資案件となる。

 なお、Verily社はGoogle Xにおける生命科学プロジェクトからのスピンアウト企業であり、さまざまな医薬品・医療機器メーカーとコラボして、低侵襲CGM、血糖値測定コンタクトレンズ、治験用ウォッチ、などさまざまな次世代型革新的ハードウエア/ソフトウエア医療機器の研究開発を行っていることで有名だ。

 Galvani Bioelectronics社が、2023年頃の承認を目標として研究開発を行っているのは、ワンショットの手術で効果が数十年間続くような埋め込み型式の「エレクトロシューティカル」だ。体内の神経信号や活動電位の不調をコントロールすることで、炎症性疾患や代謝系・内分泌系の疾患を治療することを目指している。

 同社は、開発製品を錠剤程度の精密機器とすることを企図している。もし実現するならば、ペースメーカーや埋め込み式電気刺激装置といった既存のバイオエレクトロニクスやニューロモジュレーションデバイスよりもはるかに小型になる。

 また、GSK社は、複数のベンチャーキャピタルへの出資を行っているが、そのうちの一つにAPVC(Action Potential Venture Capital)という「bioelectronic medicine」領域専門のコーポレートベンチャーキャピタルが存在する(蓋し、名は体を表すとはこのことではないだろうか)。

 APVCのポートフォリオ企業の一つであるSetPoint Medical社は、同様のコンセプトで、ワイヤレス充電可能、iPadで電位をコントロール可能な埋め込み型小型電位調整機器を開発している。既に臨床研究及び臨床開発を進めており、リウマチに対するFirst-in-Human試験、クローン病に対するProof-of-Concept試験で良好な結果を収めていることを2018年6月に発表している。