(2)創薬ターゲットの枯渇
低分子を中心とした創薬ターゲットが枯渇しており、既存の研究手法の延長線上では、新薬のタネが出づらくなってきている。The Human Protein Atlasによると、ヒトのゲノムにコードされているタンパク質の総数は2万弱存在するが、そのうち薬剤が認可されていない新規薬剤の標的タンパク質の候補は1200程度だ。それらは既に安全性、有効性、商業性の観点による製薬企業の否定的検証を経た分子標的である可能性が高い。

また、仮にそうした検証を乗り越えた有望な標的であったとしても、製薬企業各社が足並みを揃えて狙う標的となっており、競争環境は激しくなってきている。結果として、低分子医薬品や抗体医薬品などの高分子医薬品を中心とした薬剤開発に依存した事業構造が成立しづらくなってきており、新規モダリティへの転換や他の新規事業開発の検討の必要が生じている(図表3)。

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(3)収益性の悪化
抗体医薬品を中心とした新規モダリティが売上高に占める割合が増加しており、製造コストが高騰している。そもそものバイオロジクスの製造コストの高さに加えて、製造キャパシティの観点からバイオCMOの価格交渉力が上昇しており、結果として既存薬剤の収益性に負の影響を与えている。

新規モダリティの製品への投資や、希少性疾患への進出やがん領域を中心とした現行の個別化医療の進展は、患者ポピュレーションを細分化することにつながり、結果として薬剤当たりの研究開発費の高騰に一層拍車を掛けている。

さらには、こうした新規モダリティ、個別化医療、スペシャルティ領域への傾注により、旧来型のSoVを前提とした販売戦略が通用しなくなってきている。メディカルアフェアーズ、マーケティング、営業等の臨床現場寄りのスタッフが、疾患バイオロジクスや個別技術に対する深い理解を保有することが前提となっており、トレーニングや採用面でのコストアップが避けられなくなってきている(図表4)。

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