Transducers 2017は、MEMS(微小電子機械システム)によるセンサー/アクチュエーターに関する先端技術動向を映す国際会議だ。隔年で開催され、1999年以降ほとんど欠かさずに参加している筆者にとって今回も印象的な発表が多かった。今後の産業界に影響を与えると筆者がみる発表を紹介したい。

ついにMEMSが300mm化

 今回、多くの参加者を驚かせたのは、台湾TSMCが300mm(12インチ)ウエハーでCMOS MEMSの試作デバイスを発表したことだ。マイクや加速度センサー/ジャイロセンサーなど大量消費されるMEMSデバイスは、現在のところ200mm(8インチ)ウエハーで製造されている。筆者を含む多くの専門家は、MEMSデバイスの300mm化は当分来ない、いや生きている間には訪れないと考えていた。

 試作品の製造プロセスは、MEMSデバイス大手の米InvenSense社が開発した「Nasiri Process」(名称は創業者の名前に由来)に基づき、加速度センサー、MEMS共振子、圧力計測用のピラニゲージが試作された(図1)。なお、InvenSense社は、ジャイロセンサーで急成長し、現在はTDKの傘下にある。

 
図1 TSMCが発表した300mmのMEMS
(a) 300mmのMEMSウエハー、(b) キャップウエハーのある部分とない部分、(c) ウエハーレベルパッケージされたMEMSチップ、(c) CMOS回路と集積化されたMEMSの断面(Transducers 2017、論文番号W1B.002、pp. 402-405、TSMCと台湾国立精華大学のデータ)。
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 基調講演に登壇したTSMC Fellow, Vice PresidentのAlexander Kalnitsky氏が明らかにし、詳細を別の研究者が発表した(論文番号:W1B.002、pp. 402-405)。Kalnitsky氏は、今回のプロセスは開発段階にあって、事業化の具体的な計画はないと述べたが、同社が多大なコストのかかる開発を単に興味本位で行うとは考えにくい。今後もMEMS市場が力強く成長すれば、300mm化で販売単価のさらなる低下と応用の広がりが進むかもしれない。もちろん300mmプロセスでしか供給されない最先端CMOS LSIとの集積化による高性能化も進むことは言うまでもない(「加速するモジュール化」参照)。

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