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スポーツとイノベーション

東大卒eスポーツプロが考える業界発展に必要なコト

なぜ東大生は「スポーツ×IT」ビジネスにひきつけられるのか?(中)

2018/10/12 05:00

石井 宏司=スポーツマーケティングラボラトリー

 「東大生」と聞いて読者の皆さんが思い浮かべるのはどのようなイメージだろうか。勉強がすごくできる、官僚や弁護士になる人が多い・・・おそらく一般的なイメージはこのようなもので、スポーツとはあまり結び付かないだろう。しかし、最近になって突然、「スポーツ×IT」のビジネスで東大生の活躍が目立つようになってきた。しかも卒業生だけでなく、現役の大学生まで含まれているのだ。彼らはなぜ、スポーツ×ITに引き付けられたのか、そして勝算はあるのか。今回から3回の連載を通じて、彼らの実態に迫る。第2回は、現在、eスポーツのプロ選手であると同時に、チームのヘッドコーチとして活躍している「あるじ選手」にスポットを当てる。

――ゲームとの出会いはいつごろだったのですか。

名古屋OJAに所属する東大卒のeスポーツのプロ、あるじ選手
(写真:石井 宏司)

あるじ 自分の幼少期は「ファミコン時代」で、4歳からゲームをずっとやってきました。ゲーム大好き少年として、高校まで過ごしました。小さいころはずっと「ドラゴンクエスト」をやっていました。

――中・高校生時代はどんな過ごし方をしていたのですか。

あるじ 出身は山口県で、中学、高校ではコンピューター部に所属していました。BASICでプログラミングをしたり、コンピューターゲームをやったりしていました。

――東京大学を目指そうと思ったきっかけは何だったのですか。

あるじ 高校時代は成績が良くて、十分、東京大学に入れる学力があったので、自然と東大を受けて合格をしたという感じです。特に目指した、という感覚はなかったです。ただ、後付けでいうと、東大にゲーム研究会というサークルがあり、そこがドラゴンクエストの早解きで有名なサークルだったので、東大に行ったら、よりゲームの世界を深められるという期待がありました。

――実際に大学に入ってどんな生活を送っていたのですか。

あるじ 結局、ゲーム研究会に入部しました。このサークルは今、自分以外にもeスポーツのプロを輩出しようとしていて、だんだんすごいサークルになりつつあります。

 ただ、4年生の時に、自分が何をやりたいのかよくわからなくなって、卒論保留にして2年間留年することにしました。仲間のみんなが就職活動をしている中で、大学院に行くという選択肢はあったものの、実際に大学院でやろうと思っていたテーマを卒業論文で取り組んでみると、そんなに自分がやりたいことではないということに気づいてしまいました。そこで人生で初めて、自分の生き方に悩みました。

――2年間留年をしているときは、どんなことを考えていたんですか。

あるじ 実はそのころ一番やっていたのはゲームではなくて、カラオケでした。採点カラオケに友達と一緒に行ったら、“普通”に全国で上位の点数が出てしまい、そこで初めて対人対戦にはまりました。全国ランカーとしてやっていたのです。それまでゲームはRPG(ロールプレイングゲーム)を一人でやることが好きだったのですが、人と対戦してやるのは楽しいと考えるようになりました。

 ただ、普通に生活をしながら、1位を獲得し続けていくことは難しいとも感じていました。カラオケの採点ロジックを見抜いて、高得点を取ることに一番親和性が高い仕事は何かと考えたところ、プログラミングに行き着きました。

――そこにプロゲーマーとしての原点があるわけですね。一人でやっていた時代と、対戦ゲームになった時の違いは何だとお考えですか。

あるじ 一人でやるゲームは、攻略し尽くしてしまったらそこで終わるのですが、対戦ゲームの場合は、相手のスキルが向上するとか、出方を変えてくることがあります。対象がレベルアップしていくことで、常に攻略し続けるという楽しさがある一方、勝負に対する焦燥感なども味わうことになりました。