記事一覧

スポーツとイノベーション

視聴の機会損失なくす、東大生がスポーツ事業に挑む理由

なぜ東大生は「スポーツ×IT」ビジネスにひきつけられるのか?(上)

2018/10/11 05:00

内田 泰=日経 xTECH

選手から「学生GM」へ転向

――一般的には、理系なら大学院に進学して企業の研究所に就職するとか、情報系ならアナリストやコンサルタントになるというキャリアを選びそうですが、なぜスポーツビジネスを目指したのですか。

俣野 東京大学に入ってまず驚いたのは、自分がそれまで会ったことが無かったような、いろんな才能や知識を持った学生がごろごろいたことです。それぞれの人が、自分の強みや能力を活かして自分の道を選択していくのを見て、僕自身も漫然としていたらダメで、自分の強みや能力を活かして差異化していかないととても太刀打ちできないと感じていました。

 大学でもサッカーを続けていて、最初は選手だったのですが、途中からマネジメントに回りました。一応「学生GM(ゼネラルマネージャー)」というポジションについていたのですが、その頃からスポーツマネジメントやスポーツビジネスといったことに興味が湧いていきました。

 工学部でも、エンジニアリングを何に応用するのかということがとても大事だということが分かってきて、自分の場合はスポーツだと思いました。

 結果、ずっとサッカーに関わっていたことと、エンジニアリングが結びつき、自分の中では「スポーツ×IT」というテーマが、しっくり来るようになったわけです。

――現在4年生ということですが、普通に就職することは考えなかったのですか。

俣野 実は、自分の中で就職という選択肢をゼロにしているわけではありません。ただ、「大学3年生のこの時期になったら就職活動をする」という一般的な考えには馴染めなかったです。自分が生きている中で、企業と自分が自然と出会う時があると思っていて、その時が来たら就職という選択肢を考えてもいい。自分の実力さえ上がれば、今後そういった機会もできてくると思っています。今回のスタートアップへの参画も、実力を付ける一つの機会と考えています。

――スポーツ×ITというテーマがご自身の中でしっくりくるようになってから、スタートアップに参画というのは、どのようなつながりで実現したのですか。

俣野 もともとサッカーをやっていると体育会系の狭いコミュニティにだけ所属することになりますし、また理系の学部だとそれぞれの学問の専門性が高いので、そこでは横のつながりもあまり生まれません。そのまま過ごしていたら世界が狭くなるということを感じていました。

 たまたま2016年ごろに、慶応義塾大学の学生がサッカーの早慶戦を盛り上げたいということで「ユニサカ」という団体を立ち上げました。その話が出始めたころから自分も一緒にやりたいということで、そこに参画しました。

 ユニサカでは副代表理事というポジションに就き、大学サッカーを盛り上げるためにスポーツマネジメントの考えを入れ、それを支援できるように法人化して活動してきました。

 今考えると、この経験を通じて、「部活」とか「学生」というアカデミックな枠を飛び出て、ビジネスとか社会の方に接点ができていったのだと思います。

 自分としては、アスリートが自分のパフォーマンスを追求していくことと、起業家が自分のビジネスを実現させていくことは、とても近いと感じています。もともとアスリートだった起業家の方も多いですよね。そこからも起業というものに触れたいという発想が自然と出てきて、「スポーツ×テック×起業」という切り口でさまざまな活動を始めました。