“宇都宮の市街地”“女性”に的をしぼる

―― 興行で収益を上げる、集客を伸ばすという目標に向けては、どんな手を打ちますか。

江藤 栃木SCで仕事を始めてみて感じるのが“ホームタウン広すぎ問題”です。私たちの会社は現在16人体制で、営業部隊は5人。広い栃木県を5人でカバーするのは難しく、結果として県内でも知名度は低いまま。県内どころか、宇都宮市内でも存在がよく知られていない厳しい状況です。

(J1リーグ人気チームの)川崎フロンターレは、街の人が特にサポーターではなくともクラブの存在を知っているし、試合がある日にはサポーターがユニフォームを着てスタジアムへ向かったりするので、「今日は試合の日」と街行く人に認識されています。いたずらに対象エリアを広げずに、特定のエリアに(マーケティング予算などの)リソースを集中させた結果だと思います。

 宇都宮市は人口およそ52万人。商圏としては十分なのですが、これまで栃木SC(の営業活動や広報宣伝活動)は“なんとなく栃木県全域”を対象にしていました。今後は少人数の現体制に合わせて、宇都宮市内のそれも市街地などにコミットして働きかけていくつもりです。

―― 特に積極的に取り込みたいのは、どんな層ですか。

江藤 まずは女性ですね。観客のデータを見るに、どうも栃木SCのホームゲームは女性の観客が少ない。Jリーグのほかのクラブは男性6割、女性4割ぐらいの比率ですが、栃木SCでは7:3程度になっています。これを、女性を増やすことで6:4の比率に持っていきたいと考えています。

―― 女性サポーターを増やすために、どんな施策を考えていますか。

江藤 6月半ばからインスタグラムで公式アカウントの運用を始めました。インスタ自体が女性ユーザーの多いSNSなので、選手の写真などを掲載してアピールしています。例えば、地元・栃木出身で双子の西谷和希選手・優希選手にチーム公式グッズのTシャツを着てもらったり。

 ツイッターやフェイスブックの栃木SC公式アカウントのフォロワーは男性が圧倒的に多くて、ツイッターだと9割が男性です。でも、インスタは意図した通り、女性も多数フォローしてくださっていて、男女比が半々ぐらいになっています。

―― スポーツチームの広報は一般に、特定の選手を目立たせることを避けがちだと思いますが、あえて西谷兄弟にスポットを当てているのですね。

江藤 チームから人気者が生まれてくれることを願って、意図的にフィーチャーしています。スポーツやスポーツチームの人気を高めるには、スターやアイコンのような存在があると近道になると思うんです。最近ではバドミントンの桃田賢斗選手なんかが好例です。うちにも元日本代表の大黒将志選手がいますが、大黒選手はベテランなので、若い層には西谷兄弟を推していこうかと思っています。

試合に挑む栃木SCの選手(写真:栃木SC)
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