記事一覧

スポーツとイノベーション

強いだけじゃダメ、主要プロリーグ関係者が語る経営のカギ

2018/06/28 05:00

浅野智恵美=ライター

「パ・リーグ×Jリーグ×Bリーグ CROSS LEAGUE TALK 〜さまざまなスポーツ業界の働き方とビジネスの可能性〜」の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 スポーツ業界への転職に興味・関心がある人を対象としたイベント「パ・リーグ キャリアフォーラム」が2018年5月25日、東京都千代田区で開催された。主催はパシフィックリーグマーケティングとパーソルキャリア。パシフィックリーグマーケティングはパ・リーグ6球団の共同出資会社として2007年に設立された企業で、動画配信サービス「パ・リーグTV」の運用やさまざまなイベントなどを手掛けている。

 同イベントにおいて、運営の最前線で活躍する職員によるトークセッション「パ・リーグ×Jリーグ×Bリーグ CROSS LEAGUE TALK ~さまざまなスポーツ業界の働き方とビジネスの可能性~」が開かれた。

 ゲストは北海道日本ハムファイターズ事業統括本部ゲストリレーション部・部長の森野貴史氏、川崎フロンターレ営業部部長代理兼集客プロモーショングループ・グループ長の井川宜之氏、リンク栃木ブレックス取締役副社長の藤本光正氏の3名。モデレーターは転職サービスDODA編集長の大浦征也氏が務めた。

強いだけではクラブ経営は成り立たない

 日本ハムファイターズは2004年に北海道に本拠地を移転。2006年、2007年、2009年、2012年、2016年と5度のリーグ制覇を成し遂げ、さらに2度の日本一に輝いている。川崎フロンターレは2017年、クラブ創設21年目にして初のリーグ優勝を果たした。栃木ブレックスは2016~2017シーズンの覇者で、Bリーグ初代チャンピオンである。3チームとも確かな実力を兼ね備えていることは間違いない。

 しかし、三者の共通意見は「チームの強さは大切だが、それだけではクラブ経営はうまくいかない」である。

北海道日本ハムファイターズの森野貴史氏
[画像のクリックで拡大表示]

森野氏「単に強いだけでは、クラブ経営は成り立ちません。当然、チームは強い方がいいと思いますが、球団でもチーム作りをするサイドと我々、事業サイドで分かれてきます。勝敗に関わらず、どのように事業を成立させるかというのが事業サイドのミッションです。日本ハムは2016年に優勝しましたが、2017年には5位と低迷しました。しかし、それでも観客動員を伸ばしています。どうやってお客さんに来てもらい、ビジネス開発をしていくかが重要です」

大浦氏「チームを強くする機能と勝敗に翻弄されずに経営を成り立たせていく機能とは、実は異なっているということですね。サッカーやバスケットボールでも、同じような構造になっているのでしょうか」

井川氏「野球との大きな違いは、サッカーやバスケには昇降格制度があることです。降格してしまうと一気にビジネスの環境が変わってしまいますので、チームの強さはとても大切です。しかし、常に強いチームを作り続けるというのは、なかなか難しいことです。強い・弱いに関係なく、川崎フロンターレが好きだから応援するという人が多くいて年間チケットが売れれば、経営は安定します。この点は重要で、おそらくどのスポーツにも共通していると思います」

大浦氏「Bリーグもやはり同じような感覚をお持ちですか」

藤本氏「そうですね。Bリーグになってからは仕組み上、強いチームがより強くなるように感じます。分配金や賞金によってチーム強化に再投資できる形になるので、なるべく早い段階で強い位置にいると、さらに強くなるための原資が生まれます。そこは意識しています。私たちのチームの理念は“強く愛されるモチベーションあふれるチーム”です。事業経営としては、強いかどうかに関係なく愛されるチームを作っていくことも求められると思います。一方で、『強く』と理念に入れたのは、強いチームを作ろうとする姿勢や努力をファンの方に伝えていきたいからです」