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若者ファンを取り込め、高齢化に悩むMLB「時短」への挑戦

2019/04/09 05:00

渡辺 史敏=ジャーナリスト

 連日、熱戦が繰り広げられている米メジャーリーグ(MLB)だが、今年、そのルールには多くの変更が加えられている。これはMLBとMLB選手会(MLB)が現地時間2019年3月14日に、今シーズンと来シーズンのルール変更に合意したことによって導入されたものだ。

米メジャーリーグ(MLB)のロゴ。若者獲得に向けて試合時間の短縮に積極的に取り組んでいる
(図:MLB)
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 例えば今シーズンからはオールスターの投票に「決選投票日」を設け、その日までの各ポジションの投票上位3人で決選投票を行うことになった。この他、トレード期限を7月31日に一本化し、これまで可能だった期限後のウエーバーを経てのトレードが禁止された。

 来シーズンには選手登録がこれまでの投手と野手に加え、大谷翔平選手が開拓したとも言える「Two-Way Player(二刀流)」が加えられることになった。また選手登録枠が25人から26人に拡大し、9月1日以降は従来の40人から28人に縮小される。このようにチームの戦略に関わるような変更も多い。

2018年のワールドシリーズを制したボストン・レッドソックスの本拠地「フェンウェイパーク」。完成は1912年とMLBで最古の歴史を誇る
(写真:日経 xTECH)
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ワールドシリーズ視聴者の平均56歳

 なかでも目立つのは試合時間の短縮を目指した変更で、それによりチームの戦術・戦略、さらにはビジネス面にまで影響が出そうなものがあるのが特徴だ。

 MLBは近年、人気低迷に悩んでいる。平均観客数は2年連続で3万人を下回り、昨年は2万8659人だった。3万2696人を記録した2007年以降、減少傾向が続いている。さらに深刻に捉えられているのがファンの高齢化だ。調査会社ニールセンによれば昨年10月に行われた「ワールドシリーズ」における視聴者年齢の中央値は56.2歳。2016年が53.6歳、2017年が55歳だったので、年々上昇しているのである。

 こうした不振の大きな要因と考えられているのが試合時間の長さだ。平均試合時間は2012年以降3時間を超え続けている。2017年は最長の3時間8分に達した。9イニングでの平均試合時間でもここ3年は3時間以上が続く。こうした試合時間の長さは、特にオンラインビデオやソーシャルメディアに慣れ親しんだ若者層離れを生んでいると言われている。

 これに対してMLBも何もしないわけにはいかず、試合時間を短縮するための策を次々に打ち出すこととなった。2017年にはボールを投げることなく宣言するだけで敬遠ができるようになり、2018年は1試合に監督、コーチ、選手がマウンドに行く回数を、9回までなら最大6回というルールが設けられた。2018年に平均試合時間が3時間4分と、2017年の3時間8分から4分短縮されたのはそれらのおかげだろうか。