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沖縄初のJ2クラブ・FC琉球、躍進の背景に「経営立て直し」

FC琉球代表取締役社長 倉林啓士郎氏インタビュー

2019/03/04 05:00

久我智也=ライター

さらなる成長の鍵は「人材」

ここまでお話を伺っていると、現在のFC琉球にとって予算面が最重要課題という印象を抱きます。

倉林 そうですね。2018年度も収入はJ3の中でも下から数えた方が早いくらいでしたから。予算拡大のためにも様々な取り組みをしていきたいと考えていますが、その鍵は人です。そこで2018年12月から新たに2人の常勤取締役を迎えることにしました。ひとりは事業面を統括する三上昴という、横浜DeNAベイスターズの代表取締役社長などを務めた池田純氏の下でスポーツビジネスを学んだ人物です。彼は筑波大学サッカー部出身で経営学大学院(MBA)を卒業後、ゴールドマン・サックスに入社してビジネスの経験を積んでいたのですが、いつかスポーツビジネスに携わりたいという思いを抱いており、ゴールドマン・サックスを退社した後に知人の紹介で出会いました。私も将来の後継者候補を探していたので、ぜひFC琉球に来てもらいたいとオファーを出して入社してもらうことになりました。今は沖縄に拠点を移し、営業面や広報・マーケティング面など、フロント全体を統括してもらっています。

 またクラブが成長していくためにはビジネスサイドと現場サイドの連携が非常に重要になるので、強化部の統括担当者として廣崎圭という人物にも新たに加わってもらいました。彼は早稲田大学サッカー部出身で、SC鳥取(現ガイナーレ鳥取)で実行委員や強化部長などを経験していますので、地方クラブの難しさやクラブ経営に対する理解も持っています。また日本サッカー協会(JFA)やJリーグでマッチコミッショナーの経験も積んでいますので、JFAやリーグ、他クラブとの強いパイプを持っています。彼らが加わってくれたことで、J2を戦う上で安心できるフロント体制を整えることができたと思っています。

選手だけでなくフロントも理想的な補強ができたのですね。現場レベルのスタッフについては、待遇などでどのようなお考えをお持ちでしょうか。

倉林 もちろんスタッフは非常に重要な存在ですし、どれだけ優秀な仲間を迎え入れられるかがクラブの将来を左右するポイントだと思っています。それだけに、彼らの待遇や環境も向上させていきたいと考えています。

 実は私が就任する前、スタッフ給与は毎年同じ額だったらしく、彼らの自主的に頑張る気持ちに依存しているような状況でした。でも、それでは厳しい全国リーグを戦い抜くことは難しいですし、今後大きな目標を掲げることもできません。この2年は、全員の期待に100%応えられているとはまだ言えないものの、着実に給与水準を上げる意識はしています。そうしなくては彼らも選手同様にプロとして頑張り続けることは難しいですし、能力を持っている人を新たに雇うことはできません。1)

1.倉林氏自身は就任初年度から無報酬でFC琉球代表を務めている。