過密な年間スケジュールとオフの必要性

講義では、相撲界の年間スケジュールの課題にも言及されていました。想像以上に過密な日程で、学生も大変驚いていました。

花田 相撲界の年間スケジュールですが、2017年度は下図のようになっています。本場所の日数は1場所15日間なので年間90日間です。その間にも力士たちは巡業に出ています。巡業の時は朝早くから15時くらいまで興行を行い、終わったら次の県、また次の県へとバスで移動していきます。

相撲ビジネスの特徴。年90日間の本場所、年78日の巡業と年間で168日間も興行がある
(出典:日本相撲協会ホームページ)
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 本場所で90日間、死に物狂いで頭と頭のぶつかり合いをする競技は大相撲だけです。強靭な肉体力と精神力を必要とするので、若い頃から出来るだけ身体を作っていくべきというのはこのような理由からです。

 そして90日間を戦う合間に78日間の巡業が続く。そうしていくと、力士の消耗度はかなり高くなります。戦えば戦うほど消耗度が増し、力士の寿命も短くなっていきます。

 その中で巡業地での稽古をお客様にお見せします。これは協会主催ではなくて、興行主に巡業の一日の興行権を売っています。ですが一日興行のバラ売りは不経済であり、力士の負担も相当大きいです。本来なら日本相撲協会が地方巡業も主催するべきだと考えます。地方巡業の理想は、1カ所に留まり、比較的大きな会場を借りて1週間くらい興行を開催することです。それに対してスポンサー獲得などの活動を行います。

 また地域の他のプロスポーツチームとの連携を進めていくのも良いかと思いますが、そのためには運営スタッフ、広報スタッフなどのプロ人材が必要です。これがやがて地域育成プロジェクトに発展していきます。

各地域の他のスポーツチームとの連携について、もう少し詳しく教えて下さい。

花田 例えばプロ野球の北海道日本ハムファイターズが新しいスタジアムの建設計画を進めています。当時の関係者から、私が巡業部長の時にそちらで大相撲をやりたいという話もいただきました。仮に巡業をやるとなると集客を増やすためには、やはり地域の方々と一緒になって進めることが重要です。地方自治体の協力も必要になります。まさにこれが地方創生につながり、私自身は大変良いお話だと思っていました。

 こういったお話が幾つか出てくれば協会の収入も増えるし、力士の身体も楽になります。稽古にも集中でき、結果として日本人横綱が誕生することにつながるかも知れません。日本人横綱の人材獲得には地方創生は絶対必要です。東京出身の力士は数が限られているからです。男女を問わず少年少女を土俵にあげて相撲を体験し、人気力士との触れ合いを作っていく事は、将来に向けて重要かと思います。