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スポーツとイノベーション

他競技団体との連携が改革のカギ、元貴乃花親方

日本相撲界のイノベーション(下)

2019/02/26 05:00

上野直彦=スポーツジャーナリスト

力士養成のために必要な完全オフの期間

先ほどの図を見ると、想像以上の過密スケジュールです。現在多くのプロスポーツチームが目指している「観客ファースト」、「力士ファースト」的なところで課題があるのでしょうか。

花田 図を見ていただきますと「6月オフ」とありますが、実は6月は巡業がないだけでシーズンオフではないのです。つまり力士は1年間通してずっと全国を回っていますので、体力消耗は計り知れません。シーズンオフというものも、正直現在ございません。

 私自身が感じてきたことですが、年間6場所本場所をやっておりますと、真剣にやればやるほど身体に傷を負うことがあります。ですので、私は年間4場所を本場所とすべきだと考えています。年4場所にして、シーズンオフをちゃんと作ってあげる。そうやって身体を休めることが一つの鍛錬になります。そしてそれ以外の期間に、一定地に長く留まれるような巡業形態で、地方で興行を開催する。さらに相撲部屋が各地方にあれば、地方巡業も不要になります。

NFが目指すもの、最初はガバナンス改革

他のスポーツ組織との比較は、読者にとって分かりやすいと思います。花田氏が考えられているNFが目指している目標やミッションは何でしょうか。

 最初はNFとしてのガバナンス改革の実現です。何か不祥事があった際に「独立した第三者委員会」によって公正な調査を行う。その上で協会が改善していく。これが大前提です。皆さんがご存知の横綱審議委員会は日本相撲協会の理事長の諮問機関であり第三者機関ではありません。相撲ファンの多くや国民の方々は第三者機関のように思われているかもしれませんが、あくまで理事長の諮問機関であるにも関わらず、相撲協会に対して極めて大きな影響力を持っております。

 2番目には相撲部屋の全国展開による、各地方や各地域での新しい拠点の創設です。Jリーグを見ていただくと、各地域にプロチームが存在します。地域や地元の方が地元のチームを応援している。こういうシステムを相撲部屋も作ってみたらどうかと考えています。日本国内に行き渡りながら、次は海外展開を目指していく。相撲の海外への普及活動なども中央競技団体としては大事な役割となります。

 3番目は部屋の改革です。実は相撲協会は公益財団法人ではありますが、相撲部屋は個人事業主です。公益財団法人に属していながら部屋の経理的な透明性を図ろうとした際に健全でないと見なされることが、今後、法律上出てくるかもしれません。また、相撲部屋の師匠が「相撲道」というところに集中して指導に当たれるように、経営や運営に専門のプロ人材に入っていただく。これが相撲界の再生、引いては地方創生にもつながる可能性があります。先ほどのセカンドキャリアの面でも大きな変化が期待できます。