身長185cmのスーツ姿の男性がマイクテストでにこやかに話し出すと、緊張した面持ちの大学院生たちの表情が一気に和んだ。2018年12月、場所は東京大学大学院の教室。同年9月に“引退”してからもなお世間の注目を浴び、メディアをにぎわすこともあるが、実際に会うと人を惹きつけてやまないその男性。それが元貴乃花親方の花田光司氏だ。

 特別講師として登壇した花田氏の講義テーマは「日本相撲界のイノベーション」。自ら作成したPowerPointの資料を元に、時に実際にあったエピソード、時にプライベートな話、そして今も心の中で灯している日本相撲界の改革への熱い思いを語り尽くした。

 15歳の弟子入りから約30年角界に在籍し、公益財団法人・日本相撲協会の理事も約8年間務めてきた。まさに相撲界の最前線で戦ってきたからこそ見える現制度の弊害、組織体制の問題、力士のセカンドキャリアの課題にまで話が及んだ。そして花田氏は、あるプランを語った。相撲における中央競技団体(NF)の機能を持つ組織の設立である。同氏が構想する日本相撲界のイノベーションについて聞いた。なお、今回のインタビューは東京大学の許可の下に行われた。(聞き手:上野直彦=スポーツジャーナリスト)

2018年12月に東京大学大学院で「日本相撲界のイノベーション」と題した講義をした元貴乃花親方こと花田光司氏
(写真:上野直彦)
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